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関節リウマチ治療に不可欠な合併症管理 基本は「全身を診る」こと

5/22(月) 10:45配信

山陽新聞デジタル

 関節リウマチの「合併症管理とトータルマネジメント」について、倉敷スイートホスピタル(岡山県倉敷市)の棗田将光副院長リウマチセンター長に寄稿してもらった。

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 最終回の今回は、関節リウマチ診療には欠かせない合併症管理とトータルマネジメント(集学的診療)についてお話しいたします。

 ■合併症管理 

 ここ十数年で登場した多くの生物学的製剤や抗リウマチ薬によって見えてきたことを整理してみましょう。「治療目標の確立」「新しい寛解基準」「治療指針の確立」「早期治療の重要性」が提唱され、その結果「関節破壊の抑制」「寛解の現実化」「QOL(生活の質)の向上」「健康寿命の改善」「手術による劇的な機能回復」が現実化し、健常者と比べて約10年短いといわれていた平均寿命も次第に延びてきました。

 関節リウマチという病気そのものが死亡原因となることは、ほとんどありません。ではどういったことが原因となるのでしょうか? 死亡原因で最も多いのは悪性新生物、いわゆる癌(がん)で、次に肺炎をはじめとする呼吸器病変が続きます。

 直接の死因とはなりませんが、注意すべきものとして骨粗しょう症・糖尿病・高血圧・胃腸病といったさまざまな合併症が挙げられます=図1。このうち糖尿病や高血圧が悪化すれば脳血管障害や心筋梗塞をもたらし、患者さまの健康寿命に関わります。このような背景から、関節リウマチの治療は関節痛を抑えるだけでなく「合併症の管理」も重要です。

 私たちリウマチ専門医は肺炎などの感染症に注意するだけでなく=図2、広い知識を持って種々の合併症も見逃さず治療を行う「全身を診る」ことを診察の基本としています。

 ■トータルマネジメント 

 関節リウマチはその治療が長期にわたるため、患者さまにとっては心理的負担も大きく、さらに自己負担の高い薬剤導入となれば経済的にも大きな負担となります。これらのさまざまな問題を医師だけで解決することは難しく、医師以外のメディカルスタッフの協力が必要となります。

 われわれリウマチセンタースタッフは個々の患者さまの多様なニーズに対応するため、リウマチ内科医・整形外科医だけでなく、呼吸器科専門医・循環器科専門医と連携をとるほか、看護師・リハビリスタッフ・医療ソーシャルワーカーなど多職種連携(チーム医療)によるトータルマネジメントを行っています。どの規模の診療施設においても言えることは、最も患者さまと関わりが大きいのは看護師です。看護師は各職種に精通し、場合によっては各職種の実務介入を行うこともあります。社会的、経済的な問題に対しては、主に看護師と医療ソーシャルワーカーが社会資源活用の案内を行います。

 複雑な社会保障や支援制度の情報提供を行うことで「保健」「医療」「福祉」の各サービスの調整や活用のほか、病診連携・病病連携や地域社会との調整を通じ、患者さまの心理的・経済的・社会的問題の解決を工夫します=図3。

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