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脅しか、絶縁状か 三菱UFJ、東芝を「要管理先」に

5/22(月) 12:01配信

ニュースソクラ

危険水域に入った東芝支援の枠組み 三菱UFJが「一抜け」か

 「いい格好しやがって、脅しのつもりか」

 東芝のメインバンク(主力行)の幹部がこう語気を荒げるのは、三菱UFJフィナンシャル・グループ(三菱東京UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行)が東芝の債務者区分を「要管理先」に引き下げたことだ。

 5月中~下旬に予定されている17年3月期決算を控えたこのタイミングでの債務者区分の引き下げは、未だ東芝の債務者区分を「正常先」に据え置いている主力行(三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行)へのアテツケとしかいいようがない。

 かつ「引当金を積み増しても当行は体力があるから大丈夫とアピールする狙いもあるのだろう」(先の主力行幹部)とすらいう。

 だが、三菱UFJフィナンシャル・グループによる東芝の債務者区分引き下げは、1銀行グループの判断にとどまらないクリティカル(重要)な問題を内包している。東芝に融資する地域金融機関の足並みを崩しかねない毒薬となりかねないためだ。

 東芝は4月4日に取引金融機関向けの説明会を行い、今年度に1兆円の資金調達が必要と訴えた。東芝は昨年末で1兆452億円の長短借入があるが、このうちコミットメントライン(短期の与信枠)として、主力の三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行の主力3行が約4000億円を設定しているほか、三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、りそな銀行など主要7行が約2800億円の枠を設けている。

 この総額6800億円の借入枠が東芝の資金繰りを支える命綱となるが、その継続には担保の差し入れが前提。東芝は売却手続きに入っている東芝メモリの株式を差し出す意向で、主力行は融資を継続する旨を伝えている。

 だが、より深刻な問題は、6000億円を超える額を融資する地銀など80数行にのぼるシンジケートローン(協調融資)団の足並みが乱れつつあることだ。すでに東芝の取引銀行の中には同社の債務者区分を要注意先債権に落としているところもあり、引当負担が収益を圧迫するが、「マイナス金利政策による利鞘の縮小や海外の有価証券投資で含み損を抱えた地域銀行は少なくなく、東芝の先行きに不安を募らせている。

 一方、担保として差し出されるのは東芝のグループ会社の株式や事業所の不動産でしかなく、このまま融資を継続して債権放棄を求められるリスクがあるほか、一部の地銀は東芝の破綻を危惧し始めた」(主力行関係者)という。体力の乏しい地域銀行は一刻も早く東芝から足抜けしたいのが本音だ。

 こうしたことから水面下では地域銀行が主力行に債権の買取りを要求する、いわゆる「メイン寄せ」交渉が展開されているとみられている。東芝の工場等がある地方の銀行にとって、東芝の経営危機は死活問題。東芝が破綻すれば連鎖倒産の余波も避けられず、体力のない地域銀行は危機に直面しかねないためだ。

 一方、東芝破綻の引き金を引きたくない主力行は、シンジケート団の枠組みを維持するため親密地域銀行の債権を買いあげるしかない。

 東芝が今月9日に提出した変更報告書によれば、4月28日付けで、主力3行など取引先金融機関95社と担保設定契約を締結し、東芝テック、東芝プラントシステム、西芝電機、ニューフレアテクノロジー、芝浦メカトロニクス、チタン工業の保有株をすべて担保に設定した。6社の時価総額は2200億円に上る。東芝は金融機関引き止めに必死だ。

 だが、三菱UFJフィナンシャル・グループが東芝を「要管理先」に格下げしたことで、同グループの既存融資は残高維持されるものの、新規融資は原則、難しくなる。三菱UFJは東芝にこれ以上、お付き合いをすることはできないと言っているようなものだ。もし三菱UFJと親密な地域金融機関が「要管理先」への追随格下げするようなことになれば、東芝支援の枠組みは危機に瀕する。

■森岡 英樹(経済ジャーナリスト)
1957年 早稲田大学卒業後、 経済記者となる。
1997年米国 コンサルタント会社「グリニッチ・ アソシエイト」のシニア・リサーチ ・アソシエイト。並びに「パラゲイト ・コンサルタンツ」シニア・アドバイザーを兼任。2004年 4月 ジャーナリストとして独立。一方で、「財団法人 埼玉県芸術 文化振興財団」(埼玉県100%出資)の常務理事として財団改革に取り組み、新芸術監督として蜷川幸雄氏を招聘した。

最終更新:5/22(月) 12:01
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