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ヤマト・佐川・日本郵便、“戦力費”上昇で利益圧迫 宅配大手3社の苦しい台所事情

5/22(月) 15:10配信

日刊工業新聞電子版

大手3社で9割

 ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の宅配大手3社による2017年3月期の宅配便取扱量は、個人向け電子商取引(EC)拡大を背景に、2年連続でいずれも前期実績を上回った。3社の合計荷物量は36億個で前期比約1億6000万個増えた。18年3月期は事業構造改革に取り組むヤマト運輸が荷物量抑制を計画しており、他2社への流出も想定される。

 17年3月期の宅配便取扱量はヤマト運輸が約18億6700万個、佐川急便が約12億1800万個、日本郵便が約5億2100万個。日本郵便の数量は、郵便箱に投函(とうかん)する受け取り印不要の小型宅配便「ゆうパケット」を除いた。

 国土交通省によると近年の国内宅配便市場は、3社の合計が全荷物量の約9割を占めてきた。全国をカバーする宅配インフラには多くの人員や拠点が必要で、維持するにも荷物量が必要なためだ。

 ヤマト運輸は前期の荷物量急増に、運転手など人員補強が追いつかず現場が悲鳴を上げた。親会社、ヤマトホールディングス(HD)の山内雅喜社長は、「労働需給逼迫(ひっぱく)による対策の遅れが問題だった」と省みる。

 佐川急便と日本郵便では労働環境の問題が顕在化していないが、人件費や負荷変動時などに委託する協力会社への単価が上昇して利益を圧迫する傾向。佐川急便の親会社、SGホールディングス(HD)の笹森公彰執行役員は「“戦力費”が上がる」と、苦しい台所事情を明かす。

コスト増加分、価格転嫁狙う

 ヤマト運輸は10月に基本運賃を改め、全面的な“値上げ”を実施する。相対で交渉する法人顧客にも、コスト変動や輸配送の原価に基づいた料金を提示する新システムを導入。EC事業者など大口で低単価契約の荷主約1000社には、出荷調整や集配効率向上に協力を求める。宅配便平均単価の上昇率は前期比5・9%を見込む。

 佐川急便は基本運賃を改定せず、法人顧客との定期交渉で人件費や委託費の増加分を契約運賃に転嫁する方針だ。笹森SGHD執行役員は「(平均単価上昇は)2円の計画だが、7円ほど上がるのではないか」と話し、7円の場合で前期比の上昇率は1・3%だ。

 日本郵便は宅配便の平均単価を明かしていない。基本運賃は15年8月に平均4・8%引き上げており、据え置く見通し。法人の相対交渉で「適正料金を頂けるように交渉する」(日本郵便)とし、佐川急便と同様、コスト増加分を上乗せした料金で提示するという。

 18年3月期の宅配便取扱量見通しは、ヤマト運輸が前期比4・4%減の約17億8500万個。佐川急便は「前期並みの成長」(SGHDの中島俊一取締役)を計画する。日本郵便は15年に発表した中期経営計画で、最終年の17年度に6億8000万個を目標に掲げており、前期実績と比較すると3割増に相当する。