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かかりつけ医と専門医が経過共有 がん診療地域連携パス

5/22(月) 10:53配信

山陽新聞デジタル

 がん診療地域連携パスについて、倉敷中央病院(岡山県倉敷市)の十河浩史地域医療連携・広報部長に寄稿してもらった。

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 2006年にがん対策基本法が成立し、翌年に策定されたがん対策推進基本計画で、がん診療連携拠点病院は医療機関の役割分担と地域連携の推進を目的とした「がん診療地域連携パス(以下、地域連携パス)」を整備することが義務付けられました。

 地域連携パス(岡山県内共通)は、地域のかかりつけ医とがん専門医がいる拠点病院の医師が、患者さんと共に治療経過を共有できる「治療計画表」のことです。当院は、09年から胃がん・大腸がん・乳がん地域連携パスの利用を開始しました。

 治療計画表は病院で手術など専門的な治療を行った後に、診察と薬の処方は地域のかかりつけ医で、3カ月、6カ月、1年に一度の節目の診察・検査などの標準的治療をがん専門医がいる病院で行うスケジュールにしています。

 岡山県では、胃がん・大腸がん・肝臓がん・肺がん・乳がん・在宅緩和ケアが共通の治療計画表として整備されています。全国的には各医療機関ごとに前立腺がん、子宮頚(けい)がんなども利用されています。

 患者さんへのメリットについては、次のようなことが挙げられます。

 まず、どこに住んでいても、地域のかかりつけ医とがん専門医の連携のもとで必要な治療を受けられますし、日頃は自宅近くのかかりつけ医を受診しますので、通院時間の短縮や通院費用の軽減、診察の待ち時間の短縮ができます。さらに、複数の主治医の診察を受けるので、がん以外の病気についても相談しやすくなり、治療計画は把握しやすく、検査や投薬の重複を避けることもできます。

 当院の地域連携パス利用実績は、県内総実績の約75%にあたります。この数字は、医師をはじめ薬剤師、病棟と入退院支援室の看護師、医療ソーシャルワーカー、地域連携と医療事務のチームで支える取り組みがスムーズに実践できている一つの指標だと考えます。

 それに加え地域の医療機関で治療を継続しますので、当院との意思疎通が良好であることが必要です。院内外の医療従事者が一つのチームとなって患者さんを診ることができています。患者さんは、地域連携パスを通してかかりつけ医と良好な関係を持ち続けることにつながります。併存疾患も含め病状を把握してもらうことで、日頃の体調不良は十分対応してもらえますし、長い治療の中で状態が悪くなった時には訪問診療や急変時の往診に対応してもらいやすくなります。大きな急変や入院が必要になった際は病院へ紹介となります。

 75歳から認定の増える介護保険が必要になった際も、かかりつけ医が申請書を書いてくれます。全体を把握してくれるかかりつけ医と臓器別の治療を担う病院の両方と上手に付き合うことが大切です。

 倉敷市内などの病院、診療所が共催し、地域の医療機関と上手に付き合うことをテーマとした「わが街健康プロジェクト。(http://www.wagapro.net/)」を開催しています。本年度は5月23日、8月29日、11月28日、2月16日に倉敷市民会館で、いずれも午後2時から行いますので、多くの方に足を運んでいただければと思います。

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 倉敷中央病院(086―422―0210)

 そごう・ひろふみ 玉野高校、同志社大学文学部社会学科卒、岡山大学大学院社会文化科学研究科(MBA)修士課程修了。2003年より倉敷中央病院勤務。病院経営管理士、診療情報管理士。