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陸前高田「ゆめキャンパス」は、なぜ新たな復興の交差点なのか

5/22(月) 14:45配信

ニュースイッチ

復興×教育、被災地×東京、国立大×私大…

 岩手大学と立教大学が開設した「陸前高田グローバルキャンパス」(愛称=たかたのゆめキャンパス、岩手県陸前高田市)が活動をスタートした。低価格で利用できる研究室を設けるなど、国内外の研究者や企業の交流拠点を目指す。2011年の東日本大震災で大きな被害を受けた同市の復興を後押しする役割にも期待が集まる。国立大学と私立大学の連携事例としても注目され、地元からは歓迎の声があがる一方、アクセスやPRなど課題もある。

 「世界中の人が集まる場が陸前高田にあればいいと思っていた。夢のようだ」―。東日本大震災で全壊した工場を再建した老舗しょうゆ店の八木澤商店(岩手県陸前高田市)の河野和義会長は“たかたのゆめキャンパス”について感慨深げに語る。

 立教大は03年に同市で「林業体験プログラム」を開始。延べ1000人以上の学生が同市を訪問した。そこに岩手県全域で復興を支援してきた岩手大が加わり、16年1月に「地域創生・人材育成等の推進に関する相互協力及び連携協定」を3者で結んだ。

 同キャンパスでは、震災による被害や復興の状況を学べる国内外の大学生や大学院生向けのプログラムをはじめ、市民向けの教養講座や、全国の自治体職員向けに災害対応の講義や訓練を行う「陸前高田防災大学」の開講などさまざまな計画がある。

 企業の新入社員や中間管理職向けの研修などを手がけるマルゴト陸前高田(同)の大久保光男代表理事は「ボランティアとして来てくれた企業や大学は横のつながりがなく、ばらばらだった。その触媒になるような場になってほしい」と期待を込める。

 4月25日の開所式には地域住民ら約130人が集まったが、認知度は決して高いとはいえない。陸前高田市のタクシー運転手の男性は「(同キャンパスについて)地元でもまだ浸透していない」としており、今後の広報活動が課題だ。

 交通アクセスの改善も検討課題。JR一ノ関駅(岩手県一関市)から同キャンパスへは車で1時間半程度が必要で、盛岡市にキャンパスがある岩手大からも100キロメートル以上離れている。

 利便性向上には新幹線が停車するJR一ノ関駅や、最寄り駅のJR気仙沼駅(宮城県気仙沼市)と同キャンパスを往復するバスなどが必要になりそうだ。

 地元の“ゆめ”である拠点開設をきっかけに、国内外から学生・研究者や企業が旅費をかけても同キャンパスまで足を運ぶ仕掛けの充実が求められる。

 今回のグローバルキャンパスに限らず、全国の大学が被災地の復興を支援している。東京大学は11年、岩手県遠野市に同大教職員や学生が岩手県の沿岸部の被災地域で研究やボランティアなどを行う際の拠点「遠野分室」「遠野東大センター」を開設。東海大学はコミュニティースペースの不足を受け、岩手県大船渡市や宮城県石巻市に集会所を建築した。そのほかにも全国の大学が被災地への支援を現在も続けている。

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最終更新:5/22(月) 14:45
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