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【コラム】身につけた“フォア・ザ・チーム”の意識…堂安律が世界の舞台で見せた成長

5/22(月) 12:12配信

SOCCER KING

 何とも美しいゴールだった。遠藤渓太(横浜F・マリノス)の鋭い縦パスを起点にした攻撃。右サイドからDFとMFの間のスペースへスルスルと入り込んでいた堂安律(ガンバ大阪)はこれをワンタッチでサイドにはたくと、自らはゴール前に突進。パス&ゴーの基本通りの動きから、久保建英(FC東京U-18)のリターンパスを呼び込んで、最後は得意の左足シュートを突き刺してみせた。

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 高精度の技術とスペースを使って動き出す感覚が見事に噛み合ったファインゴールであるが、同時に堂安の成長ぶりを感じる得点シーンでもあった。

「アジア予選のときは『自分が自分が』となってしまった」と自身が振り返ったように、昨年はゴールを求める余りにチームプレーの意識を欠き、簡単に周りを使えばいい場面でも自分で持ち込むことに固執して失敗する場面が目立った。もちろん、そこで結果にこだわれるのが堂安の強さであり魅力なので、要はバランスの問題である。能力の高さは誰もが認めるところながら、効率が悪かったのは否めない。

 だが、この得点シーンは堂安が大会に向けて語っていた「周りを活かすことで自分も活かされる」形そのもの。G大阪で結果が出て来た状態で合流したことも大きかったのだろう。この合宿の堂安はアジア予選のときにあった妙な緊張感もなく自然体を感じさせていたし、ホンジュラス戦での動きも良かった。それがそのまま初戦で発揮されたわけだ。

 本人は「初戦で決められてラクになった」と、肩の荷を少し下ろした様子だった。プレッシャーはあったのだろうし、より若い力が台頭してくる中で、負けず嫌いの彼の中に熱い気持ちがなかったはずもない。その気持ちを独善的な形ではなく、チームの勝利に寄与する形で発揮できたことは、世界舞台における堂安の評価をもさらに高めることになるだろう。

 もう一つ成長を感じさせたのは守備面での貢献だ。

「ガンバで健太さん(長谷川健太監督)に求められているところはこのチームでも絶対にやめてはいけないところなので、守備というのは継続してやっていこうと思って試合に臨めている」(堂安)

 激しくプレスバックもしながら、ときにはポジションを離れて中央へのカバーリングでも冴えを見せ、相手との肉弾戦でも怯むことなくディフェンスで献身的に体を張った。最後は足もつってしまっていたが、それもフォア・ザ・チームに徹した結果であり、勲章のようなものだ。

 試合後、殊勲者として記者陣に大いに囲まれた堂安だが、「次のウルグアイなんかはもっと強くなると思います。もう一回、一から満足せずにやりたい」と早くも兜の緒を締め直した。その上で「もう緊張もほぐれていると思うので、逆に食ってやろうという気持ちですね」と言ってニコリと笑う。最後に浮かんだ堂安らしい笑顔は、この試合で確かな手ごたえを得た事実を、数ある言葉よりずっと雄弁に物語っていた。

文=川端暁彦

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最終更新:5/22(月) 14:58
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