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「共謀罪」重なる記憶 戦前、米統治下の運動弾圧

5/23(火) 5:00配信

琉球新報

 市民運動への監視が強化されるのではないかとの懸念の声が強まっている、「共謀罪」を含む「組織犯罪処罰法改正案」。沖縄は戦前・戦中、戦後の米統治下でも市民運動が権力から不当に監視された状況があった。沖縄人民党委員長や衆院議員を務めた瀬長亀次郎さん(1907~2001年)は、1954年の人民党事件で米軍の思想弾圧下で逮捕された。瀬長さんの次女・内村千尋さん(72)は「(人民党事件は)まさに今の共謀罪だ。共謀罪の法案が通ると今後どんな世の中になるのか不安だ」と強く懸念する。
 人民党事件が起きた54年、瀬長さんは立法員議員だった。米側は米統治下の圧政に抗議する人民党への弾圧を強め、島外退去を受けた人民党員をかくまったとして瀬長さんを逮捕した。瀬長さんの逮捕を訴える抗議集会を開く計画を決めた支持者や、手書きのポスターを張り出した人までも騒乱や暴行行為につながる疑いを掛けられ、逮捕者は44人に上った。

 獄中の父へ差し入れを持って行ったという次女の内村さんは、当時の状況を「警察が米軍と一緒になって市民の動向を探る動きをしていた」と振り返る。

 一方、1932年にも瀬長さんは神奈川県で治安維持法で逮捕され、懲役3年の刑を受けた。当時、労働組合の争議で、賃金改善や労働時間の短縮を求め、ストライキなどを指導する中で逮捕された。当時の手記には、釈放後も特別高等警察に監視されていたとみられ「絶えず尾行されていることを背中で感じていた」と記されている。

 戦前・戦中の特高警察や戦後の米統治下で動向が監視されていた瀬長さんの状況と「共謀罪」法案を重ねる内村さん。「政府が一般人や辺野古の抗議活動には共謀罪は適用されないなどと説明しても、(対象を)決めるのは(権力を持つ)当局だ」と指摘し、法案の危険性を訴えた。「共謀罪」をめぐっては、与党は23日にも衆院本会議で法案を可決する見通しだ。(古堅一樹)

琉球新報社

最終更新:5/23(火) 5:00
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