ここから本文です

巨大風車の建設に新手法、クレーン不要で施工費20%削減

5/23(火) 11:10配信

スマートジャパン

 大林組は巴技研と共同で、大型風車の建設工事に掛かる費用やリスクを低減できる新しい手法を開発した。「ウインドリフト」という新開発の装置を利用することで、超大型クレーンを使わずに大型風車を設置できるという。

【その他の画像】

 国内で建設が進む風力発電所では、発電効率を高めるために大型発電機が採用される傾向にある。それに伴い風車の中心部であるハブやブレードなどで構成されるローターの径が大きくなり、支柱も高くなるなど、風車自体の大型化が進んでいる。

 風車を大型化すると上空の強い風を捉えられるという発電上のメリットがある一方、資材運搬や施工条件の制約も大きくなる。そのため現在陸上用の風車では、発電容量3MW(メガワット)クラス、支柱高さが90m程度が利用できる最大の風車になっているという。

 風車の建設には複数の施工方法がある。ハブとブレードを地面で水平に組み立て、建て起こしながら支柱上端部へ上げていく地組工法や、ハブとブレードをそれぞれ直接支柱上端で取り付ける「シングルブレード工法」が一般的だ。

 これらの一般的な工法において、3MWクラスの風車を建設するためには、部材の組み立てや取り付けに1200t級の超大型クレーンが必要になる。しかし、超大型クレーンは国内には数台しかないため調達が難しく、現場への輸送も容易ではい。さらに大きな施工ヤードが必要になることなどが課題となっていた。

 こうした課題の解決に向けて開発したウインドリフトは、3MWクラスの風車を建設する場合でも超大型クレーンを使用せず、部材をリフトアップすることで風車を組み立てられる装置だ。これまでにも同様の装置はあったが、3MWクラスの大型風車には対応していなかった。さらにハブとブレードの建て起こし機能を加えるなど、高機能化も図っている。超大型クレーンを設置する場所などが不要となり、最小限の施工ヤードで工事を行うことができるというメリットもあるという。

施工スペースを30%、コストを20%低減

 ウインドリフトは10tトラックなどの運搬車両で搬入できる。山間部、離島などの現場でも活用可能だ。こうした搬出入が容易であるというメリットにより、風車が運転を開始した後の突発的な機材の交換修理など、メンテナンス工事にも活用できるとしている。

 大型クレーンを使わずに施工できるという点は、工事の遅延リスクの低減にもつながるという。一般的なシングルブレード工法で3MWクラスの風車を建設する場合、超大型クレーンを使用して高所へ部材をつり上げて取り付ける作業が必要になる。このような高所での作業は、風の影響によって、作業工程が大きく左右されてしまうという課題があった。油圧ジャッキでリフトアップを行うウインドリフトでは、こうした風の影響も受けにくいとしている。

 このように3MWクラスの風車建設時でも組み立てに超大型クレーンを設置する必要がなくなる点や、新たに加えたハブとブレードの建て起こし機能などによって、施工スペースは最大30%程度削減できるという。これにより立木の伐採や造成などの準備工事を削減でき、同時に超大型クレーンの調達や運用に掛かるコストが不要となるため、施工コストを10~20%程度削減できるとしている。

 風力発電事業を手掛ける大林組は、既にウインドリフトを自社発電所の施工に導入し始めている。秋田県三種町で進めている出力6MW級の「三種浜田風力発電所」(秋田県三種町)の建設に導入したところ。コストを約10%削減できたとしている。同社ではウインドリフトを活用し、1200t級の超大型クレーンでは施工できないような大型風車や、より高所での風車建設にも対応していく方針としている。