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運送各社続々と値上げ、待遇改善で消費は拡大するのか?

5/24(水) 8:30配信

THE PAGE

 ヤマト運輸の値上げ表明をきっかけに、各社が続々と値上げの方針を打ち出しています。従業員の待遇が改善されることになれば、消費の拡大にもつながると期待されていますが、どれだけの効果が見込めるのでしょうか。

 ヤマト運輸は、消費者向けの宅配料金を10月1日から値上げします。関東から大阪に60サイズ(外形寸法の合計が60センチ以内)の荷物を送る場合、現在は800円の料金がかかっていますが、新料金体系では940円となります。アマゾンなど大口顧客については個別の対応となりますが、消費者と同等かそれ以上の値上げを見込んでいるともいわれます。

 同社が値上げを決断すると、他の運送会社も続々と値上げを表明しました。ヤマトのライバルである佐川急便は、大口顧客向けの料金を引き上げます(佐川の場合には消費者向けはとりあえず据え置きとなります)。日本通運も取引先に対して値上げを要請する方針であることを明らかにしています。

 あまり指摘されていませんが、一部の運送事業者では人手不足が慢性化しており、サービス残業などを含めた長時間残業が日常的になっているともいわれます。もし値上げで生まれた利益が、残業代の適正な支払いに回ることになれば、労働者の所得が増え、それによって消費が拡大する効果が見込めることになります。

 今回の値上げによってヤマトと佐川における全体の配送単価が2%上昇すると仮定すると、理屈の上では、ヤマトには約200億円の、佐川には約125億円の増益効果が見込めます。この多くが従業員に支払われた場合には、その分は所得の増加となり消費に貢献するかもしれません。他の運送会社などを併せると、数百億円の効果があるでしょう。

 一方、値上げによって配送を依頼する顧客の支出は増えてしまいますから、その分だけ、他の消費に回るお金は少なくなります。このままでは値上げによる従業員の所得増加と顧客の所得減少は相殺されてしまいますが、消費拡大の効果が大きければ、場合によっては経済の好循環をもたらします。

 しかしながら、一般的に見て家計の状況はあまりよくありません。総務省が発表した2月の家計調査によると、2人以上の世帯における実質消費支出は前年同月比3.8%減と大幅なマイナスで、続く3月も1.3%のマイナスでした。消費支出が前年を下回るのはこれで13カ月連続となっていますから、多少、給料が上がったとしてもすぐに消費が拡大するとは思えません。

 景気を冷やさない形で値上げが広く浸透すれば話は別ですが、今回の値上げが、デフレ脱却の起爆剤になるとまでは考えない方がよいでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:5/30(火) 6:10
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