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「承認されたい!」女性の欲望で育つシェア経済

5/23(火) 7:18配信

ITmedia ビジネスオンライン

 「シェアリングエコノミー」という言葉を聞く機会が多くなってきた。モノやスキルを「所有」ではなく「シェア(貸し借り)」するという考え。欧米や中国では急速に進みつつあり、米シリコンバレー出身の「Airbnb(エアビーアンドビー)」や「Uber(ウーバー)」は一般的なサービスとして利用されている。

【ルイ・ヴィトンのバッグも“借り放題”】

 日本ではやや出遅れているが、女性をターゲットに絞った「ファッションシェアリング」は成長中。ラクサス・テクノロジーズが提供するブランドバッグシェアリングサービス「ラクサス」もその1つだ。

●「ビジュアル」「AI」で成約率アップ

 ラクサスはブランドバッグを返却期限なしでレンタルできる月額6800円(以下、いずれも税別)のサービス。15年2月にスタートし、エルメス、ルイ・ヴィトン、グッチ、ブルガリなど、男性でも聞いたことがあるような52の高級ブランドのバッグを1万6000種類そろえている。

 ターゲットは「ブランドバッグを使いたいと思っているが、気軽には買えない層」だ。ラクサスのユーザーの80%が年収600万円以下という。定期的に高級バッグを購入するのはやや厳しいが、レンタルなら気軽に好きなブランドのバッグを利用できる――というわけだ。

 運営するラクサス・テクノロジーズによると、ユーザーの年齢層は20~50代と幅広く、サービス継続率は95%(5月時点)と高い。ユーザーは約1カ月半に1回バッグを交換し、新しいデザインやブランドを楽しんでいるという。

 力を入れるのは「ビジュアル」。通常、バッグのレンタルといえば、バッグの全体・裏表・細部などをフォーカスしたページをイメージする。しかしラクサスは、洋服とコーディネートした写真も商品ページに掲載している。

 「バッグだけが載っているとブランドによって選んでしまいますし、金額が高いものを選ぶ傾向にありました。ですが、洋服に合わせてバッグを表示すると、バッグを持ったときのイメージが浮かびやすく、かつ特定のブランドへの偏りを起こさないことも狙えます。コーディネート写真に切り替えたことで、バッグが予約される率が2.7倍になりました」(広報担当者)

 2種類のAI(人工知能)を活用するレコメンド機能も。「朝日の画像が好きな人はシャネルが好き」といった心理学を応用したテストや、ユーザーのレンタル傾向を観測し、「ミュウミュウとバレンシアガが好きなら、プラダも好き」「グッチが好きならシャネルを好まない」といった傾向を蓄積し、ユーザーの好みに合ったバッグを薦める。

●C2Cに横展開、グローバル進出も

 17年1月には、C2Cのブランドバッグシェアサービス「ラクサス エックス」をスタート。ユーザーがラクサスにブランドバッグを送ると、メンテナンスをした上で、他のユーザーにレンタルされる。自分が預けたバッグが貸し出されれば収入を獲得できる仕組みだ。

 5月現在、1万超のバッグが集まった。人気のブランドはルイ・ヴィトンの定番の型で、「昔買ったが今は使っていないバッグを預けて副収入を得たい」「定番のハイブランドバッグを使いたい」というユーザー同士のニーズが合っているという。

 自社でそろえた1万6000種類のバッグに加え、ユーザーから預かった1万個のバッグを保管するとなると、気になるのはコストやリスクだ。

 ラクサスは、自社開発のICタグをバッグに取り付け、同一の大きさの箱に入れて管理することで、管理の効率化や盗難防止を図っている。発送・管理作業に要するスタッフは2人で、人件費の負担も少ない。また、ロボット管理も試験中で、17年中のシステム完成を目指す。

 今後は積極的にグローバル展開を行い、17年はニューヨーク、パリ、ロンドン、シンガポール、台北、ソウルでのリリースを予定する。加えて、ユーザーの好みなどのビッグデータをブランド側に提供するマーケティング支援事業も視野に入れる。

●注目しておきたいシェアリングサービス

・自動車

 個人間の車の貸し借りサービス「Anyca(エニカ)」(DeNA)は、15年9月開始。17年2月時点でユーザー数約6万人、車の累計登録台数は約3400台。「憧れの車を割安で借りられる」「車の維持費の足しになる」などの理由からユーザーに支持されている。

 駐車場のシェアサービス「akippa」(akippa)は14年4月スタート。オーナーには駐車料金の60%がキャッシュバックされ、利用者は駐車スペースを割安で借りられる。17年2月で9000拠点を突破した。

・自転車

 都心部で増加中。東京都千代田区とNTTドコモが連携して行っている実証実験「ちよくる」は、電動自動車のレンタルサービス。17年1月時点で登録者数は1万6000件を超えた。渋谷・新宿・浅草エリアで展開しているサービス「COGICOGI」(コギコギ)は対応エリアを広げている。

・ファッション

 15年2月にスタートした「air closet」(エアークローゼット)は、月額6800円で、ユーザーに合わせてスタイリストが選んだ3着が送られてくるのが特徴。会員数は17年2月に10万人を突破(無料会員含む/有料会員数は非公開)し、現在は新規貸し出し開始までに約1カ月待ちという状態にある。

 15年9月スタートの「メチャカリ」(ストライプインターナショナル)は、アパレル事業を手掛ける運営会社の強みを生かして展開。グループブランドの服を月額5800円で「新品の状態でレンタルできる」を売りに、アプリダウンロード数は50万を突破、有料会員数は5000人を超えた。返却された服はZOZOTOWN運営のサービス「ZOZOUSED」で「公式古着」として販売している。

 ちなみに、男性向けのファッションシェアリングサービスは、ネクタイレンタルなどが展開されていたものの、女性向けに比べると伸び悩んでいる。その理由はなんだろうか。

 「ファッションを毎回変えてオシャレしたいという願望は、そもそも女性の方が強いと考えています。また、男性は所有欲が強く、女性は他者からの承認欲求が強い。バッグなどを持ってオシャレになった自分が褒められてうれしいというのも、女性特有のものなのではないでしょうか」(ラクサス広報担当者)

 所有欲よりも承認欲求――日本でシェアリングエコノミーが普及するカギは、女性の欲求にあるのかもしれない。