ここから本文です

「みんなの憩いの場に」 小高の居酒屋「更紗」今井さん

5/23(火) 10:54配信

福島民報

 福島県南相馬市小高区本町の居酒屋「更紗(さらさ)」は22日、東京電力福島第一原発事故の避難指示の大部分が解除された区内で営業を再開した。店主の今井一江さん(46)=同区浦尻出身=は、原発事故による避難と、同市原町区で再開した店舗の焼失という困難を乗り越えた。古里では6年ぶりの復活。「やっと、の一言」と、さまざまな思いのこもった涙を拭った。
 30歳の時、小高区にスナック「更紗」を開いた。JR小高駅に近く、相双地方から広く客が訪れる人気店だった。東日本大震災と原発事故で新潟県新発田市に避難した。平成23年8月に原町区に移り「何もしないでいるわけにはいかない」と、同11月に原町区で居酒屋を再開させた。しかし、昨年3月に火災に遭い、店舗を焼失した。小高の店から持ち出した写真や店内音楽用のCDなど、思い出の詰まった品々を全て失った。
 苦難続きの中、脳裏に震災前の更紗の風景が浮かんだ。人が集い、笑い合う。そんな場を提供する仕事が何より好きだった。店舗焼失を「古里・小高に戻るきっかけ」と前向きに捉え、帰還を決めた。
 新しい更紗は牛すじトマト煮や、もつ煮といった定番メニューの他、ナンカレーなどおなかを満たす料理も用意している。埼玉県白岡市から手伝いに来た、いとこの主婦松沢ななみさん(44)は「温かで家庭的な店。再開は本当にうれしい」と目を細めた。
 小高に帰還している住民は約1800人で、住民登録者に占める居住率は約2割。スーパーがなく今井さんは原町区で仕入れする。不便や不安も感じるが「古里の復興する姿を見守っていきたい。みんながほっとするような憩いの場にする」と穏やかな表情に決意をにじませた。
 営業時間は午後5時からで、終了時間は様子を見て決める。木曜定休。問い合わせは更紗 電話0244(44)5446へ。

福島民報社

最終更新:5/23(火) 11:23
福島民報

Yahoo!ニュースからのお知らせ