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トランプ大統領弾劾が現実味

5/23(火) 14:30配信

ニュースソクラ

ロシアゲート混迷 鍵は共和党内の支持

 トランプ大統領による一連の”ロシアゲート“で、、先週の米国市場は大荒れ。米国株は300ドル以上の下げを記録した。コミーFBI長官の解任に続いて、トランプ氏がフリン大統領補佐官へのロシア関連疑惑の捜査を止めるように要請したとみられること、訪米中のロシア外相に対してイスラエルの諜報機関から受け取ったIS(イスラム国)の極秘情報を漏らしたこと、などである。
 
 いままではホワイトハウスを巡る政治的混乱にもかかわらず、株価も2万ドル台で堅調でドル高も続いていた。しかし、さすがに大統領のimpeachment(弾劾)という単語が飛び交いだして、大幅減税、インフラ投資などで景気刺激効果が高いトランポノミックスとはやしてきた市場関係者もトランプ政権の持続可能性について安閑とできなくなったということだ。

 NYタイムズ紙に掲載された論評に「トランプ大統領は7歳の子供と同じでその子供に世界が振り回されている」という趣旨の批判があった。トランプ大統領の大きな気質として自分の感情をコントロールできない、大人から”良い子“と褒めてもらいたい、といった子供と同じところがあるのは事実だろう。

 ロシア外相にイスラエルがもたらしたISに関する極秘情報を話してしまった場面を想像すると、トランプ大統領が「こんなに知っているんだ、すごいだろう、褒めてくれ」といった得々とした表情で話した姿が目に浮かぶ。

 情報の内容からイスラエルが送り込んでいるスパイが特定化される可能性も高く、スパイ社会の掟を逸脱した行為である。イスラエルを含む中東歴訪を控えるトランプ大統領にとっては厳しい風当たりとなることも予想される。

 トランプ大統領はFBI、CIAといったインテリジェンス機関を激しく攻撃してきた。歴代大統領の中には自分の意のままにならぬFBI長官を解任したいという欲求にかられた者もいたであろう。しかし、その高い諜報能力を恐れて、ウオーターゲート事件で特別検察官を解任したニクソン元大統領以外、誰も手出しできなかった。

 さらにトランプ大統領はインテリジェンスに加えてメディアをも「おまえらの記事はフェークニュース(虚偽の報道)だ」と言い放って敵に回している。NYタイムズ、ワシントンポスト、CNNといった大手メディアと既に臨戦状態にあるといってよい。

 一部のメディアや民主党関係者が唱える大統領弾劾の可能性はそれほど大きくないというのが一般的見方であったが、この1週間ほどのロシアゲートを巡る問題で否定はできなくなった。

 民主党が要求していたロシア疑惑に対する特別検察官にミュラー元FBI長官が就任する。トランプ大統領本人も含めた徹底捜査が行われてロシアが大統領選に介入したかどうかの真相解明につながることが期待される。

 トランプの頼りは共和党が上院下院とも過半数を占める議会である。しかし共和党重鎮のなかからもトランプ批判の声は上がっている。ライアン議長ら共和党指導部は何とかいまのところトランプ支持の姿勢を維持している。

 しかし、これとて分からない。来年に中間選挙を控えているなかで、トランプ支持が議席を失うことにつながるという危機感が共和党議員のなかに広がってくれば、冷徹に反トランプに切り替えてこよう。

俵 一郎 (国際金融専門家)

最終更新:5/23(火) 14:30
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