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AI(人口知能)が人知を超えた!?~『情熱大陸』が描くコンピューターの「情熱」~

5/23(火) 18:00配信

トレンドニュース(GYAO)

「シンギュラリティ」という言葉がある。
AI(人工知能)が人類の知能を超える転換点を指す。米国の未来学者レイ・カーツワイルによると、それは2045年に訪れるという。ところが将棋の世界では、30年ほど早く、人間よりAIの優位が確定してしまった。

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去年行われた第1期電王戦。山崎隆之叡王(八段)とPONANZA(山本一成)の戦いは、AIの完勝。朝日新聞は「ポナンザの2連勝で幕を閉じた。快勝した第1局に続き、第2局もつけいる隙を与えない完勝だった」と報じた。
そして今月決着した第2期電王戦。佐藤天彦名人とPONANZAの戦いも、AIの圧勝に終わった。この戦いをドキュメントした『情熱大陸』は、なぜ人知はAIに敵わないのか、そのメカニズムを伝える興味深い番組となった。

■AIはなぜ強い?

PONANZAをプログラムしたのは山本一成(31歳)。
1985年愛知県生まれ。9歳で将棋にハマった。中学高校は将棋部に所属し、今はアマチュア5段の腕前。東大で将棋部に籍を置き、2年生の頃からPONANZAを作り始めた。大学院卒業後、ゲームソフトの会社に就職した。スポンサーの支援を受けて、将棋ソフトの開発一筋でやってきたという。
実際に将棋プログラマーとして生計を立てているのは、世界で山本一成ただ一人。1日15時間はパソコンに向かう生活である。

「コンピューターは2つしかできない。計算することと、記憶すること」と山本は言う。
将棋に対して「やることは2つ。一つは先を読んでいくこと。一手30通りあり、30×30×30……と続くのでスゴイ数になってしまう。そこでテクニックで絞り込む作業が一つ」
もう一つは、読んだ局面の先が良いか悪いかの判断すること。一生懸命読むことと評価することは、人間がやっていることと全く同じだという。

1秒間に500万もの局面を読む能力があるPONANZA。これまで学習して来た局面の数は1兆にも及ぶ。
例えば山本は、3年前からスーパーコンピューターを使って、PONANZA同士を戦わせ経験値を高めている。
「プロ棋士が指しているよりも多くの将棋の棋譜が生まれている。今のところ500万棋譜ぐらい作っている」というが、プロ棋士は自分の脳一つだけで全てやっていることを考えると前提が違い過ぎる。

今年3月、山本は羽生善治と対談した。1996年に将棋界初の7タイトル独占を成し遂げた最強の棋士である。
この時羽生は、将棋ソフトは人間がプログラムを書いているので、山本がPONANZAの強さの秘訣(ひけつ)を知り尽くしていると思っていたようだ。
ところが山本の回答は意外だった。「(PONANZAの改善は)ブラックボックスの中に適当に手を入れて、適当に動かしているだけ。人間が入れたノウハウみたいなものって減らした方が良くなっている。いらないことをしないことが大事。すでにそういうレベル」というのである。
つまりAIが既に人知の及ばないところで、勝手に強くなり始めているというのである。

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