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数を競う新商品乱立、食品業界にも広がる配送員不足

5/23(火) 15:52配信

日刊工業新聞電子版

物流費高騰、構造改革つながるか

 配送ドライバーの人手不足による物流費高騰の影響が、食品業界にもじわじわ押し寄せている。低価格競争に悩む食品業界にとって逆風だが、改善に真剣に取り組めば業界構造を変え、新たな成長に結びつくチャンスにもなり得る。

 食品業界で共同配送の動きが盛んだ。ビール業界が先行しており、アサヒ、キリン、サッポロの3社が首都圏や北陸などで着手しているほか、9月にはサントリーを加えたビール4社が北海道で開始する。

 異業種でも共同配送が進む。味の素、カゴメ、日清フーズ、ハウス食品グループ本社の4社が北海道と九州で物流会社を共同設立し、いずれ全国に拡大する。サントリーと日清食品も6月に北海道で始める。

 1台のトラックに複数社の商品を混載して積載効率を高め、人手不足の改善と輸送コストを削減するのが狙いだ。ただ共同配送を拡大するには、乗り越えなければならない課題もある。

 各社によって容器や段ボールの寸法、形状が異なり、空きスペースがあるからといって単純に混載すれば、輸送中の揺れで商品が傷むなど別の問題が発生する。A社とB社で小売り大手の配送センターへの納入時間が異なる問題もある。

 価格競争の激しい飲料や菓子は容器やボトルデザイン、容量が商品ごとに微妙に異なる。それが共同配送を阻害しているのは間違いない。商品アイテムの多さも問題だ。同じブランドでも期間限定や派生商品、さらには「競合会社がメロン味を出したから当社もメロン味を」など、安易な商品企画も目に付く。

 商品開発担当者からは、手をこまねいていてはライバルに“店の棚”をさらわれるとの反論もあろう。だが、最近登場した商品で生き残っているのは、味や品質にそれなりの優位性を持つものだ。単純な新商品は短期間で店頭から消えてしまう。

 数を競うだけの新商品開発を脱し、真のおいしさや品質競争を目指すべきだ。物流費の高騰がその背中を押す起爆剤になることを期待したい。