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《ブラジル》「特別寄稿」世界的企業JBSが政界裏幕を暴露=今度はテメル大統領に爆弾炸裂=ブラジリアは改革放って右往左往(サンパウロ市在住=橘 馨)

5/23(火) 7:53配信

ニッケイ新聞

 5月に入って気候も良くなり、経済の面でも明るさが見えて来た。何ともパッとしないブラジルもこれで良い方に進むのかと期待していたら、おっとどっこい、行政の中心部に爆弾炸裂です。それで先週後半から大統領府の業務はストップ、政界の偉い先生方も右に走り左にあたりで、大混乱となっています。
 この全く考えてもいなかった爆弾騒動は、今度はブラジル一の食品会社JBSによる政界の舞台裏暴露証言で始まりました。テメル大統領の退陣となると、それまでの改革方策の頓挫、変更が予見され、政界、経済界の停滞をもたらすばかりでなく、私達一般国民の生活をも大きく揺るがすことになります。
 一体この世の中、何が起きていて、これからどうなっていくのでしょうか? 皆様とご一緒に情勢を考えてみたいと思います。

▼録音されていた内緒話

 5月17日夕刻グローボ系の新聞、TVは、テメル大統領をジャブル公邸に訪れたJBS社主バチスタ(JOESLEY BATISTA・ 以下JBSとする)と、家の主人との内密の会話の内容を一斉にスクープ報道しました。
 それは今まで不正行為には関与していないとされてきたテメル氏が、実は他の汚職高官と同様、地位を利用した不当な利益を得ていた、という内容だったのです。検察当局の指摘によれば―
★役職を利用して不正な金を受け取っていた。(JBSによるとテメルに少なくとも470万レアル払っていると)
★警察などによる不正摘発の捜査を妨害している。(JBSは拘置中のクーニャ元下院議長に不正口止め料として相当の金額を支払っていたが、テメル大統領はこれを是認しかつ「それでよい、今後もキチンと払うんだ」と答えた。
★違法犯罪組織結成に関与している。(汚職行為、資金の不正授受などの組み立てなど)その他、テメルはJBSが「関係官庁の幹部や裁判所の公務員まで自分のほうで手なづけてある」と発言したのに対し、これをとがめず聞き流し、大統領としての監督責任を果たしていない。
 また、JBSに対し、「話したいことがあれば、手続きの面倒な正式ルートを通さず、公邸のガレージから直接訪問して来てもよい」など親密さを伺わせる発言もしている。
 他方、これとは別にテメル政権を支えている有力与党PSDBのアエシオ(AECIO NEVES)党主との会話も録音、報道されている。
 アエシオが「自分の弁護士に払うのに必要だから、200万レアル払ってくれ」と要求したのに対し、JBSは即座に「OK。支払いは50万づつ4回に分けてしましょう」と了承している。
 JBSにすれば、会社と政権側の癒着を知っているアエシオにガタガタ言われるのは困るので〃口止め料〃として承諾したと思われます。
 さて、その50万レアルの4回の支払いですが、これが連邦警察の協力を得て、録画されていたのです。サンパウロのレストランなどで何回か場所を替えての出会い、現ナマの入ったバッグの中身、受け渡しの様子などが、TVで一般民衆向けに放映されました。
 そう、JBSはその前に司法に不正事実を隠さず供述する、違法分の罰金を払うなどの約束をして、それと引き換えに刑罰の軽減をしてもらうデラソン(DELACAO PREMIADA=司法取引供述)の合意をしていたのです。
 隠しマイクや相手に分らない録画の方法などは警察が協力していたのです。つまり「おとり捜査」をやられたということでしょう。
 こういう動かぬ証拠を突きつけられては、アエシオさんも堪りません。PSDB党の党首は交代させられ、上院議員は休職とされました。何とか逮捕、収監は免れましたが政治活動は禁止です。
 また、JBSと連絡をとっていたアエシオの腹心の姉や、現金受け渡しにかかわったアエシオの従兄弟は18日逮捕されて、現在留置所の中です。

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最終更新:5/23(火) 7:53
ニッケイ新聞