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雇用部、起亜自動車違法派遣に対する本格的な捜査を開始

5/23(火) 17:44配信

ハンギョレ新聞

2審裁判所も「違法」判決した華城工場 社内下請け労働者が経営陣を告発してから 2年後にやっと本格的な捜査を開始 新政府、非正規職に対する差別是正の“試験台”

 雇用労働部が違法派遣の疑いで告発された起亜自動車に対する本格捜査に入った。起亜自動車の社内下請け労働者たちが告発してから2年近くになっている時点だ。控訴審判決でも違法派遣と認められた状況で、「遅きに失した捜査」という批判の声があがっているが、文在寅(ムン・ジェイン)政権の非正規職差別是正の試験台になるものと見られ、注目を集めている。

 雇用部の京畿支庁は22日、起亜自動車華城(ファソン)工場の「派遣労働者保護などに関する法律」(派遣法)違反の疑いについて、来月末までに捜査を終えてから、検察に送致する計画だと明らかにした。京畿支庁は先月20日、勤労監督官9人で構成された特別捜査チームを作り、今月11日に華城工場に対する現場調査を行った。雇用部の今回の捜査は2015年7月、金属労組起亜自動車華城非正規分会(華城分会)が起亜自動車の経営陣を検察に告発したことによるものだ。2014年9月、ソウル中央地裁は、非正規労働者らが起こした労働者の地位確認訴訟で、起亜自動車の社内下請け工程を違法派遣と認め、労働者を正社員として雇用するよう判決を下した。これに華城分会は、起亜自動車経営陣を派遣法違反の疑いで検察に告発した。派遣法は、製造業の直接生産工程に派遣労働者を投入した場合は、3年以下の懲役または3千万ウォン(約300万円)以下の罰金に処するよう定めている。しかし、事件を引き受けた京畿支庁は2年近くの間、告発した分会の関係者と告発された会社の経営陣をそれぞれ2度ずつ呼んで調査したことを除けば、本格的な捜査を行わなかった。その間にソウル高裁は今年2月10日、勤労者地位確認訴訟控訴審でも労働者側に原告勝訴判決をを言い渡した。

 捜査が見送られた理由について、京畿支庁の関係者は「社内下請け労働者に対する特別採用をめぐる労使交渉が昨年行われており、民事訴訟も提起され、結果を見守っていた」とし、「(告発を受けてから)勤労監督官1人が事件を担当していたが、人員を補強して捜査チームを立ち上げた」と明らかにした。しかし、起亜自動車側を捜査するのと、起亜自動車労使の特別採用に向けた労使交渉とは何の関係もない。派遣法は「反意思不罰罪」ではなく、特別採用の合意で労働者たちが告訴・告発を取下げたとしても、使用者の違法行為があったかどうかを捜査し、刑事処罰対象になるのかを判断するのには支障がないからだ。

 キム・スオク華城分会長は「民事裁判1審で労働者たちが勝訴してから告発したにもかかわらず、雇用部はこれまで手を拱いて起亜自動車の違法行為を見ているだけだった」とし、「もし雇用部と検察がまともに捜査して、違法派遣という結論を出していたら、特別採用の交渉で社内下請け労働者の一部だけが特別採用の対象に含まれることはなかったはずだ」と主張した。起亜自動車労使は労働者の地位確認訴訟の2審判決前の昨年11月、社内下請け労働者を段階的に特別採用することに合意したが、社内下請け労働者が1900人の華城工場では採用人数が600人にとどまり、分会が反対した。しかし、会社は特別採用をそのまま進めている。

 雇用部が捜査後、社内下請け労働者を直接雇用するという「是正命令」を下すかも注目される。是正命令は、起亜自動車経営陣に対する刑事処罰とは別に非正規職差別をなくすという新政府の政策意志にかかわるものだからだ。2015年の韓国労働研究院研究によると、1次社内下請け労働者は、元請の正社員に比べ、賃金が52%にすぎず、2~3次社内下請けになるほど、その割合はさらに低くなる。賃金だけではなく、福祉にも差があり、無分別な社内下請け・間接雇用は所得不平等の主要原因となっている。

 雇用部の関係者は「告訴・告発の場合、是正命令なしに検察に送検するのが原則」としながらも、「捜査結果をみなければならないが、今回は違法であることが確認されれば、是正命令が下される可能性もある」と明らかにした。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権も、就任初年度に違法派遣を根絶するため現代自動車を調査し、社内下請の全工程の1万人の労働者が違法派遣に当たるとして、検察に告発したことがある。

 事件を引き受けた検察が、起亜自動車経営陣を起訴するかも関心事だ。現代自動車も2月の民事裁判控訴審で起亜自動車同様、ほとんどの工程が違法派遣という判決を受けた。しかし、蔚山(ウルサン)地検は2015年12月、現代自動車のユン・ガプハン代表取締役を一部の容疑だけで起訴して、「社内下請を使用した当時、違法であることを知らなかった」との理由でチョン・モング会長と工場長などについては不起訴処分し、労働界の反発を買った。特に、ユン代表取締役は起訴以降裁判が一度も行なわれず、1年半の間法廷に立たされたこともない。

パク・テウ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

最終更新:5/23(火) 17:44
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