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【追悼クリス・コーネル 】 80年代シアトル・シーンからのキャリアと人柄を振り返る

5/23(火) 18:20配信

RO69(アールオーロック)

5月17日に急死したことが衝撃をもって受け止められたサウンドガーデンのクリス・コーネルだが、「エンターテイメント・ウィークリー」誌などが「ロック・スターから最も遠かった人物」として振り返っている。

クリスとサウンドガーデンは80年代中盤から勃興していたシアトル・シーンの中心的な存在となっており、もともとはクリスとベースのヒロ・ヤマモト、ギターのキム・セイルと結成、クリスがヴォーカルとドラムを兼務していた。
やがてクリスをボーカルに集中させるためドラマーが迎えられ、その後ドラマーはマット・キャメロンに代わられることになった(マットはその後、パール・ジャムのドラムも兼務している)。

このバンドの活動に注目したシアトルのラジオ局DJのジョナサン・ポーンマンがバンドにリリースの資金を肩代わりすると申し出ると、キムはインディ・レーベルを運営していたブルース・パヴィットをジョナサンに引き合せ、ブルースが片手間にやりくりしていたインディ・レーベル、サブ・ポップは本格的な運営をジョナサンの出資をもとに開始した。
その後、サブ・ポップはサウンドガーデンのEP『スクリーミング・ライフ』をリリースし、ほかにもマッドハニー、ニルヴァーナなどのバンドを輩出することになった。

http://www.youtube.com/watch?v=rqeNJ4gAU0Y

ファースト・アルバムについてバンドはインディの老舗でソニック・ユース、ダイナソーJr、バッド・ブレインズらを擁していたSSTからのリリースを決意し、『ウルトラメガ・OK』を1988年にリリース。
その後、A&Mと契約し、シアトル・シーンのバンドとして初めてメジャーとの契約を果たしたバンドとなった。

http://www.youtube.com/watch?v=kXYccATGkLI

それからはセカンド『ラウダー・ザン・ラヴ』を1989年に、91年にはサード『バッドモーターフィンガー』をリリース。
ニルヴァーナの『ネヴァーマインド』が記録的なヒットとなったため先を越されはしたものの、逆にニルヴァーナの成功によってシアトルのバンドが広く注目されるようになり、映画『シングルス』へのサウンドガーデンやパール・ジャムの出演のきっかけともなった。

そして、94年の『スーパーアンノウン』で初めて本格的なブレイクを果たすこととなる。なお、『スーパーアンノウン』のリリースから一ヶ月後にはニルヴァーナのカート・コバーンが猟銃自殺で他界することになった。

http://www.youtube.com/watch?v=AwdjreJKggg

1996年には『ダウン・オン・ジ・アップサイド』をリリースするが、クリスとキムの目指す音楽的な方向性の違いにより97年にバンドは解散するに至った。

解散後はソロとしての活動を続け、2006年の映画『007カジノ・ロワイヤル』では主題歌“You Know My Name”を提供し、007シリーズでは史上初のアメリカ人男性アーティストによる主題歌となっただけでなく、映画のタイトルを歌詞で使わないシリーズ史上初の型破りな曲ともなった。

その一方でレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンからのザック・デ・ラ・ロッチャの脱退を受けて、トム・モレロ、ティム・カマーフォード、ブラッド・ウィルクとオーディオスレイヴを結成し、2001年から07年まで活動することになった。
その後、レイジのライヴでの再結成を受けて、活動が暗礁に乗り上げ、解散が発表されたが、今年に入ってプロフェッツ・オブ・レイジのライブ・イベントの一環としてオーディオスレイヴの再結成パフォーマンスも実現させていた。

その後、クリスとサウンドガーデンのメンバーはファン向けのマーチャンダイジングなど、ネット環境ではバンドが存在していないに等しい状況になっているのを憂えて対策を考案していくうちに再結成の機運も本格化し、2010年から活動を再開させ、12年には16年繰りの新作となる『キング・アニマル』をリリースしていた。

http://www.youtube.com/watch?v=NeBjhpw_Ee0

もともとシアトル・シーンを牽引していたサウンドガーデンだが、そもそもこのシーンは80年代のヘアメタルやロック・スターダムへのアンチから始まったものだったため、いわゆるロック・スター的な存在を生み出すものではなかったと「エンターテイメント・ウィークリー」誌は振り返っていて、そんな新しいパーソナリティとして登場したのがカート・コバーンやエディ・ヴェダーらだったとしている。
そして、その中でも最も朴訥としていて腹を割った態度でメディアとも接した人物としてクリスを紹介している。

そのクリスとサウンドガーデンの魅力を最も正確に今に伝えるものとして「エンターテイメント・ウィークリー」誌が挙げているのは、キャメロン・クロウ監督の1992年の映画『シングルス』に登場するサウンドガーデンの“Birth Ritual”のライブ映像だ。

http://www.youtube.com/watch?v=vrLs5_ATTIU

なお、映画『シングルス』のサントラ盤についてはクリス・コーネルのソロ楽曲も多数収録したCD2を新たに加えた新装盤『Singles (Deluxe Version): Original Motion Picture Soundtrack』が5月19日にリリースされている。

また、クリスの死因については自殺による縊死以外は検死報告が待たれる状態になっているが、クリスの妻のヴィッキー・カライニアスは死の直前に連絡を取った際に抗鬱剤を多く摂取したとクリスが語ったと明かしていて、自殺もその影響とも考えられ、本人の呂律もあまり確かではなかったと語ったと「バラエティ」誌などが伝えている。

RO69(アールオーロック)