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リサイクル事業者が社福法人を設立 金属ゴミ分別などで障害者雇用

5/24(水) 16:18配信

福祉新聞

 障害者雇用とリサイクルを結びつけて開所した就労継続支援A型事業所がある。鹿児島市の社会福祉法人環和会が運営する「資源再生工場エコランド」(宇都久夫施設長)だ。リサイクルのプロが考えた障害者雇用の仕組みは、利用者の自立に大きく貢献。リサイクルの可能性を広げる活動としても注目されている。

 環和会は、大手リサイクル事業者(株)荒川(荒川直文・代表取締役)の創業者で、2015年11月に亡くなった荒川文男会長が「社会に貢献したい。障害者を支援したい」という強い思いで、13年8月に設立した社会福祉法人。本業のリサイクルを障害者雇用に生かし、14年4月にエコランド(定員30人)を開所した。

 民間企業が障害者を雇用する場合、特例子会社を設立する方法もあるが、故荒川会長は、景気などに左右されず継続的な支援をするには、社会福祉法人が良いと判断。(株)荒川が扱うさまざまな事業の中から、障害者でもでき、高い賃金を得られる金属ゴミの選別、電線むき、ガス・水道器具の分解などを作業の柱に据えた。

 金属ゴミの選別は、(株)荒川で廃自動車など破砕し、ボディーなどの大型ゴミを取り除いた後のエンジンやラジエターなどの金属ゴミを分別する作業。大型クレーンでベルトコンベアに運ばれた金属ゴミを色や重さ、磁石に付くか否かなどで判断し、鉄、銅、アルミニウム、ステンレスなど14種類に分ける。選別能力には個人差があるが、少しずつ経験を積み選別できる種類を増やしていく。現在23人が従事し、3人が14種類を選別できる。

 電線むきは、長い電線を1~2メートルに切断した後、専用の機械で外側のゴムなどを取り除き、中の銅線を取り出す。ガス・水道器具は取っ手やパッキンなどを外して、真ちゅうや鉄などを分別する。

 選別した金属ゴミは、(株)荒川が1キロ50円で引き取り、加工業者に販売する。毎月の引き取り量は約60トンで、収入は300万円に及ぶ。「選別すると販売価格が倍以上になる。材料費もかからず、収入のすべてを賃金に反映できる。利用者には最低賃金の1時間715円(鹿児島県)を払っており、平均月額8万~9万円になる」と宇都施設長は話す。

 また、前施設長の西元泰光理事は「金属ゴミの選別は、粘り強く真面目な障害者に向いている。エコランドで選別するようになって、(株)荒川は別の仕事ができるようにもなった。互いにプラスになっている」と話す。

 精神障害者を中心に就労意欲の高い人が多いエコランド。開所後3年で3人が一般就労し、2人が溶接技術を学ぶために進学するなど次のステップに進む人も多い。そんな個々の希望に応じた支援ができるのも社会福祉法人だからだという。

 今後の課題は、市の要請に応え、OA機器や廃家電のリサイクルを行うことだが、今の人数では手が回らない。人手は増やしたいが、金属片で手をケガするなどのリスクもあり、働ける人が限られる悩みもあるという。

 「障害者の力を生かそう」と、数多い作業の中から金属ゴミの選別などを選んだ故荒川会長。リサイクルのプロが考えたその仕組みは、障害者雇用とリサイクルの可能性を広げる先駆的取り組みになっているようだ。

最終更新:5/24(水) 16:18
福祉新聞