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《ブラジル》日本企業8社=説明会の手応えは十分=直接雇用、長く働く人希望=「技術の継承が悩み」

5/24(水) 6:09配信

ニッケイ新聞

 日本の経済産業省が主催する『合同企業説明会』が19から21日の間、サンパウロ市の文協とマリンガ市内ホテルで計3回開催され、合計の来場者は予想をはるかに超える267人だった。日本の素形材産業関連企業8社が参画し、直接雇用を前提に来場した求職者と直接面談を行ない、当地の状況に手応えを感じていたようだ。

 説明会をした企業側は「正規社員として日本で長く働ける人材」を求めていて、従来の技能実習生やデカセギ雇用とは一線を画すもの。開催の背景には日本の少子高齢化と経済回復による熟練技能労働者不足がある。
 鋳鉄部品の製造販売を行なう株式会社アキオカの秋岡義則代表取締役は、「新卒の採用募集を行なっても人が集まらない」と漏らす。「ベトナムの技能実習生受け入れているが3年で帰ってしまうので技術が継承されない」との悩みを抱えている。今回は「じっくり話せた」との手応えを語り、「現時点で技術がない人でも、採用後の研修でしっかり育てたい」とかなり前向きな様子。
 北海道から来た佐藤鋳造株式会社の佐藤孝造取締役社長は「過去に二世従業員の働き振りを見たことがあるが、非常に真面目だった。日系人には良いイメージがある」と話した。一方で「本当に優秀かは面談では分からない。実際に働いている姿を見られたら良かった」と意見した。
 従業員数が5千人を超える株式会社ムロオの山下俊一郎代表取締役社長は「日本での新卒採用も約30人うち、半分ほどが外国人留学生。もともと国籍に関係なく採用している」とし、「日系人の採用も国際的な人材確保の一環として考えている」と話した。
 聖州立総合大学工学部卒のヨネクラ・アレンさん(32、三世)は現在求職中だが、最近まで投資銀行で勤務していた。「自分のエンジニアとしての技能と英語を生かせる仕事を探しに来た」と話し、希望企業で熱心に話を聞いていた。
 求職にきた東豊美さん(50、二世)はデカセギで17年間岐阜県にいた経験がある。「ブラジルは景気が悪く仕事がない。家族がいるのですぐに決められないが、また日本で働きたい。今回は様子見」と話した。
 経済産業省の大臣官房審議官、土田浩史さんは、「職業安定所では求人数が求職者数の1・45倍。労働者が足りず、経営者の世代交代も危うくなっている」との状況を語った上で、「日本で制限なく労働できる日系人には、正社員として長く働き産業を支えてもらいたい」と期待した。
 「今回面接した人への連絡は日本に帰ってから。採用結果も考慮し、意見も集めながら次のステップに進むことを期待している」とのこと。今後の開催に関しては「今回の成果を見てから」と語った。

□大耳小耳□関連コラム
    ◎
 経済産業省主催の「合同企業説明会」会場には四世以降の日系人や非日系人も来場していた。告知情報がフェイスブックで拡散されていたため、興味を持った人がやってきたよう。泉ステファニーさん(19、四世)は両親のデカセギで群馬県大泉町に8年間住んだことがあるとか。「日本で働きたいけれど、ビザが出るのは日系三世まで。話だけでも聞くつもりで来た」と話す。日本では四世への在留資格の拡大が取りざたされているが、具体化はまだまだ先の話のようだ。
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 説明会で60代の二世男性に話を聞くと「私は日本に一度も行ったことがないから、ぜひ行ってみたい。観光もしてみたい」と話していた。難しい技能を習得して長期間就労できる若い労働者を求める今回の企業の思惑からは、あきらかに外れるタイプのよう。かと思えばUSP卒で「投資銀行」勤務の経歴を持つヨネクラさんに、企業との面談後に話を聞いたところ「余り反応が良くなかった」との意外な返答。一流大学出身で英語も話せるのになぜ、と思っていたら「日本語ができないからだと思う」と続けた。思えば、今回の求人の多くは「現場の技能職」のようであり、金融の知識を活かせる仕事ではなさそう。両者の思惑が合致するのはむずかしい?!

最終更新:5/24(水) 6:09
ニッケイ新聞