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ある家族の幸福と運命を描く感動作『光をくれた人』監督が語る

5/24(水) 7:00配信

ぴあ映画生活

『ブルー・バレンタイン』『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』のデレク・シアンフランス監督の新作映画『光をくれた人』が26日(金)から公開になる。これまで自らオリジナル脚本を執筆してきたシアンフランス監督は、本作で初めてベストセラー小説の映画化に挑んでいるが、彼がこれまでに描いてきたテーマ、すなわち家族、秘密、選択、そして運命……は本作にも引き継がれている。

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映画の舞台は、1918年のオーストラリア。戦争から戻って孤島で灯台守をすることになったトム(マイケル・ファスベンダー)と、港町で暮らす女性イザベル(アリシア・ヴィキャンデル)は恋に落ち、孤島で結婚生活を始めるが、なかなか子どもが出来ずにいた。しかしある日、島に赤ん坊が乗ったボートが流れつき、トムとイザベルは周囲には秘密にして、その赤ん坊を“自分たちの子”として育て始める。

前2作で、家族や夫婦が抱えている秘密や危機を描いたシアンフランス監督は「子供の頃、僕は家族で島に暮らしていると想像していた」と振り返る。「来客があるたびに、家族の様子が変わったからだ。いつもより仲がよくなり、いわゆる理想的な家族になる。そしてお客さんが帰った瞬間、いつもの家族に戻る。そこから島という発想が生まれたんだ。近所を歩いていて、家のひとつひとつが島だと妄想していたのさ」

スピルバーグが率いる制作会社ドリームワークスから小説『海を照らす光』の映画化を持ちかけられた監督は、小説を読み「人間関係が“孤島”のように描かれている点に惹かれた」と語る。「僕は幼い頃からずっと家族の様子を記録してきたし、家庭で起こっている真実を伝えることが、僕の役割だと思っていたんだ。僕が20歳の時、両親が離婚したんだけど、僕の友人も近隣の人々もショックを受けていた。でも僕は違った。内情を見てきたからだ。傷つきはしたけど、いずれそうなるだろうと。映画でもそれを表現しようとしている。だからこの作品は僕にピッタリだと思ったんだ。孤島に移り住んで、秘密に囲まれて生きていくからだ」

岬から160キロも離れた孤島で、トムとイザベル、そして“ふたりの子”ルーシーの日々が始まった。「監督として役者にあげられる最大の贈り物は“指示”ではなく“経験”」というシアンフランス監督は、孤島のシーンを合成やCGを使わずに、実際に人里離れた半島でスタッフと役者たちが共同生活しながら撮影することにこだわった。「スタジオからは『いいけど、役者は絶対に納得しないよ』と言われたので、マイケル・ファスベンダーに電話をしたら『そんな苦労はしたくない。僕は演技をしたいだけなんだ。その世界を体験したいわけではない』と言われたよ」。しかし、監督は食い下がり、ファスベンダーはひと晩だけロケ地で暮らすことに。「結局、そのひと晩は5週間になり、最後は彼をあの場所から無理やり連れて帰らなければいけなかった。役者がこのような経験型の映画作りを好むのは、その中で生きることができるからだ。僕にとって島で撮影するのは、長年の夢だった。境界線のある環境が大切だったんだ」

誰の目も届かない孤島で、トムたちの幸福は永遠に続くかに思えた。しかし、数年後、トムは洗礼式のために娘ルーシーを連れて町を訪れた際、ルーシーの“生みの親”ハナ(レイチェル・ワイズ)に出会ってしまう。夫と共に消えたわが子の行方を捜し続けるハナ、秘密を抱えたままにすべきか、打ち明けるべきか迷いながら目の前の幸福な日々を過ごすトムとイザベル。偶然が招いた状況の中で、それぞれが苦しみながら選択し、愛を求めて彷徨う。

監督はこれまでも、個人の選択と不可避的な運命の組み合わせを繰り返し描いてきた。「僕はキリスト教徒として育ったから、いかなる選択も、何かしらの結末を招くと自然と思ってしまうんだ。僕のストーリーに登場する人物は、必ず何かを欲している。別に彼らは悪いわけじゃない。欲望があるだけなんだ。林檎をかじったアダムとイヴのようにね。みんな、悪意があって欲しているわけじゃない。でも多くの場合、何か選択をすると影響を残すことが多い。それが思わぬ結果を招く時もある」

トムが、イザベラが、そしてハナがとった選択は、物語の最後にどんな結果を招くのだろうか?

『光をくれた人』
5月26日(金)より全国公開

最終更新:5/24(水) 7:00
ぴあ映画生活

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