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[教えて!親野先生]どうしたら理科好きな子になるの?

5/24(水) 16:01配信

ベネッセ 教育情報サイト

教育評論家の親野智可等先生が、保護者からの質問にお答えします。

【質問】
昨今子どもたちの理科離れが叫ばれているようです。うちの子は小2の男子と年長の女子ですが、ゆくゆくは理科が好きな子になって欲しいと思っています。そのためにはどんなことに気をつけたらいいでしょうか?

相談者・のりのりこっこ さん (小2男子と年長女子)

【親野先生のアドバイス】

のりのりこっこさん、拝読しました。

私がまず一番におすすめしたいのは、子どもの自然体験を増やすことです。

例えば、しろつめ草で冠を作る、オオバコで草相撲をする、泥団子を作る、すすきの穂でミミズクを作るなどです。
落ち葉の布団の中で、ほのかな暖かさを感じながら親子で寝てみるのも楽しいですね。

昆虫採集に出かけるのもいいですし、できたら親子で昆虫飼育に挑戦してみましょう。
都会に住んでいる人でも、ちょっとその気になればできることです。

家庭で毎年何か一つ、植物を育てるのもいいですね。
土を作り、種をまき、水をやり、花を咲かせ、実をならせる、こういった一連の過程を実際に体験することが大切です。 

動物を見たり触ったりエサをあげたりなどの触れ合いもおすすめです。
小動物ならぜひ抱きかかえてみて欲しいです。
魚や鳥についても同じような体験をさせてあげてください。

地層を見に行く、化石発掘を体験する、柱状節理を見るなどすれば、地学への興味が育ちます。

プラネタリウムで星座に親しむ、天体観望会で星を見る、星座盤を片手に夜空を見るなどすれば、天文学への興味が育ちます。

こういった体験が豊かになればなるほど、子どもの感性と知性が磨かれます。
自然に親しむ心も育ちますし、森羅万象の不思議さ、美しさ、奥深さにも気がつくようになります。

もっとやってみたい、もっと知りたいという気持ちも育ちます。
こういった気持ちこそが理科的・科学的な探究心の源になるのです。

ノーベル医学生理学賞を受賞した大隅良典さんが、子どもの頃に夢中になっていたのは昆虫採集と天体観測だそうです。

顕微鏡やライトスコープでいろいろな物を拡大して見る経験も、ぜひさせてあげてください。

ライトスコープというのはライトがつく簡易型顕微鏡で、簡単にいろいろな物を拡大して見ることができます。

カラー印刷物は全ての色が赤、青、黄色の3原色の点の集まりによってできているということがわかりますし、植物の葉っぱには小さな毛がたくさん生えていることもわかります。

いつも目にしている世界の一歩先に、未知の世界が広がっているのです。
これは子どもにとっても新鮮な驚きであり、探究心の芽を育てることにつながります。

家の中の目につく所に、温度計、湿度計、気圧計などを設置しておくのもいいですね。

すると、「寒いと思ったら12度しかない」「蒸し暑いと思ったら28度もあって、湿度が80パーセントもある。気圧も低気圧で1005ヘクトパスカルしかない。もうすぐ雨が降るのかな」などの会話が可能になります。

自然現象を数字で表すのは理科的思考の基本なので、とてもよいトレーニングになります。

さて、ここまでが理科の第二分野(生物・地学系列)に関わる内容です。
第一分野(物理・化学系列)においても実際の体験が大切です。

まずおすすめしたいのが実験キットです。
これは家庭でいろいろな実験ができる優れものです。

電気回路の実験、光を分ける実験、結晶づくり、水溶液の性質を調べる実験、磁石の実験など、本当にいろいろな物があります。

「実験キット」で検索すればたくさん出てきます。

あるいは「メカ工作」「電子工作」「ロボット工作」などで検索すれば、メカやロボットの工作キットがたくさん出てきます。

こういった物で遊んでいればメカに強くなることは間違いありません。

もう少し本格的にやる場合は、このごろ増えている実験教室がおすすめです。
私もいくつか見学したことがありますが、どの教室でも子どもたちが喜々として実験に取り組んでいました。

それらの教室では、実験に必要な物が完璧に整っていて、きちんとしたノウハウがあり、指導するスタッフも十分いて、それぞれの子が自分で実験できるようになっています。

学校の理科の時間でも実験をやりますが、先生一人に対して子どもは最大40人です。
指導者の数も実験道具も時間も不十分なので、班で協力して実験ということになります。
ですから、見ているだけという子どもも出てしまいます。

最後に、第一分野と第二分野のどちらにおいても抜群の効果を発揮するものとして、図鑑と学習漫画をおすすめしたいと思います。

すばらしいビジュアルで子どもたちの興味を引きつける図鑑がたくさん出ています。
中には動画のDVDがついているものもあり、これがまた子どもたちの興味を掻き立てます。

面白いストーリーの中で理科的な内容に親しめる学習漫画もたくさん出ています。
漫画なので気軽に読み始めることができるのがいいですね。

こういった図鑑や学習漫画のページを楽しくめくっているうちに、知識がどんどん増え、もっと知りたいという気持ちも育ちます。

さて、ここまでいろいろ紹介してきましたが、基本は生活や遊びの中で楽しく取り組めるということです。私はこれを「楽勉」と呼んでいます。

こういった楽しい体験がないところで、教科書、参考書、問題集ばかりを使って理科の“勉強”をさせようとすると、子どもは理科が嫌いになります。

親の中には、手っ取り早く理科のテストの点数を上げたいと焦っている人たちがけっこうたくさんいて、こういう「苦勉」を押しつけがちです。

これは長い目で見て逆効果になりますので、気をつけてください。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

(筆者:親野智可等)

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