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アメリカで増える学生ホームレス、経験者がシェルター創設

5/24(水) 21:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

27歳のルイス・ツィー(Louis Tse)氏はカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の博士課程に在籍していた当時、節約のために車中生活を送っていた。 ペットボトルの水と保存食を入れたダッフルバッグが「彼の台所」だった。家族写真を後部座席の窓に掛け、夜はフリーWi-Fiがつながる場所に駐車して、研究をしていたという。

シェルターに入居した学生たちの画像

「ホームレスに陥った若者は、車で2時間かけてハリウッドの若者向けシェルターに行くか、自力でなんとかしなければならないのです」

ツィー氏は現在、NASAのジェット推進研究所で熱工学のエンジニアとして働いている。

ツィー氏と元クラスメイトのルーク・ショウ(Luke Shaw)氏は2016年10月、高すぎる教育費が原因でホームレスになった学生のために、学生が自分たちで運営するシェルター「Students for Students」を創設した。シェルターは大学に在籍する間の食事や睡眠、仲間との交流や勉強をするための安全で快適なスペースを学生たちに提供している。

シェルターには9台のベッドがあり、ロサンゼルス地域の大学生を受け入れている(キャンパスが近いためUCLAの学生が多い)。抽選で入居者を決める従来のシェルターとは異なり、「Students for Students」は応募者に対して面接を行い、最大6カ月間の滞在場所を提供する。そこではまるで家族と暮らしているかのように、朝食と夕食が毎日提供される。

24時間運営のシェルターは、60人の学生ボランティアによって支えられている。UCLA社会福祉課のケースマネジャーは、より長く住める住居を探すのを手伝ったり、自治体の家賃補助制度を利用できるよう、入居者を支援する。また、大学の医学部と歯学部の学生は定期検診を提供している。カウンセリングも利用可能だ。

「帰る家があるということは、若者が学業や仕事、人生をうまくやっていくための大きな支えになる」とツィー氏は言う。

「安定した滞在場所があれば、精神も安定します」

アメリカでは非常に多くの大学生が、定住場所を持たずに暮らしている。全米70カ所のコミュニティカレッジに在籍する3万3000人の学生を調査したウィスコンシン大学の最近の研究によると、約半数が、住居を転々としていたり、生活費を払う余裕がないなど、不安定な住居環境にあることが分かった。驚くことに、学生ホームレスの割合は14%に上った。カリフォルニア州では、コミュニティカレッジの学生の3人に1人が住居に関する問題に直面しており、 ツィー氏が実際に経験したように、問題は4年制大学にも広がっている。

ツィー氏とショウ氏は、ハーバード大学にある若者向けシェルターをヒントに「Students for Students」を設立。UCLAのデヴィッド・ゲフィン医学部から2万ドル(約222万円)の補助金を得ることに成功し、周辺コミュニティから食料や衣服、毛布および日用品に至るまでの寄付を募った。そして昨年秋、改装した教会に学生たちを迎え入れた。

シェルターは1学期に18~27人の学生を受け入れる予定だ。

「Students for Students」は最初の学期に、児童養護施設で育ち、学費免除の奨学金を逃してしまった学生を受け入れた。数カ月後、この学生は無事にシェルターを卒業していった。

「社会では学歴が重視されるため、人々は人生の可能性を広げるために学校に通い、『卒業証書』を取得しようとします。だからこそ私たちは、さまざまな生活上の困難に直面している学生たちを支えていきたいのです 」(ツィー氏)

source:The Atrantic、Students for Students

[原文:College is so expensive, this 27-year-old rocket scientist created a homeless shelter for students]

(翻訳:小池祐里佳)

最終更新:5/24(水) 21:10
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