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話題沸騰!劇場アニメ『BLAME!』監督&副監督インタビュー・1

5/24(水) 17:31配信

Stereo Sound ONLINE

作品の世界を精密に構築し、その中で生じたドラマを描きたい

 フル3DCGで描かれるハードSF作品『BLAME!』。『シドニアの騎士』などの原作でも知られる弐瓶勉の伝説的な作品で、世界中に熱心なファンがいることでも知られている。その劇場公開が5月20日に始まった。これに合わせ、アニメを制作したポリゴン・ピクチュアズを訪ね、瀬下寛之監督、吉平“Tady”直弘副監督へのインタビューを行なった。

 ポリゴン・ピクチュアズは、CMや番組のCGを手がける仕事でスタートし、押井守監督の『イノセンス』のオープニングパートにも関わっている。その後、『トランスフォーマー』などの海外のCGアニメ作品の制作で頭角を現し、『シドニアの騎士』で国内のアニメ・ファンの注目を一気に集めた。その後、『亜人』など次々とヒット作を生み出している。手描きアニメ風のセルルックCGによる作品を主体としている。

 果たして、これまでの作品と『BLAME!』ではどこが異なるのだろうか?

4K解像度も想定してフルCG映像を作成した

【瀬下監督】「これまではTVシリーズ作品で、『BLAME!』は劇場公開作品です。そのため、制作の環境や体制は一新しています。制作解像度はフルHDを超える横2048画素としており、3DCGの描画を行なうレンダラーというソフトは4K解像度も想定して開発した新しいものを使っています」

 3DCGアニメーションのソフトは「オートデスク(Autodesk)Maya」だが、レンダラーやシェーダー(オブジェクトの表面処理や照明効果を行なうソフト)はオリジナルで開発したもので、高速処理と優れた表現力を備えた自慢の出来だという。

【吉平副監督】「オリジナルで開発したレンダラーやシェーダー群の「Maneki」は極めて高性能で、高いクォリティを求められる劇場公開のために導入しました」

 当然のことながら、3DCGに関しては最新鋭の環境となっているわけだが、『BLAME!』の企画段階では、舞台設定やキャラクターデザインなどはすべて手描きの絵で作っていたという。インタビューが行なわれた会議室の壁一面に貼られた膨大な設定資料の数々もほとんどが手描きのイラストだ。

【瀬下監督】「企画当初のアイデアをまとめる段階では、ほとんど手描きです。デジタルツールは機能が豊富すぎて発想を引き出すのではなく、絵として仕上げることに傾きがちになるからです。ラフな手描きの段階で魅力がないようでは、作り込んでいっても魅力的にはなりませんから」

 例えば、瀬下監督の創作ノートには、どのページにも手描きのイラストと膨大な書き込みがいっぱいだ。会社や自宅などに複数置いてあり、思いついたアイデアを記録しているとか。じっくりと紹介したいところだが、発想のプロセスがわかってしまうので秘密だそうだ。

 また、設定資料のすべては、スタッフ全員が共有するため専用に開発したデータベースも活用しているという。それぞれの資料の変更も随時反映されるし、変更の履歴も記録される。そして、タグやキーワードで検索できるので、必要な資料を素早く見つけることができるという。

【吉平副監督】「監督のアイデアやイメージをスタッフ全員がきちんと共有できることが重要です。そうでないと現場が効率良く動きませんし、現場からのアイデアを監督にチェックしてもらうこともスムーズにできます」

(つづく)

【映画『BLAME!』】
5月20日(土)より全国にて2週間限定公開中
<スタッフ>
●原作/総監修:弐瓶勉
●監督:瀬下寛之
●副監督/CGスーパーバイザー:吉平“Tady”直弘
●脚本:村井さだゆき
●プロダクションデザイナー:田中直哉
●キャラクターデザイナー:森山佑樹
●ディレクター・オブ・フォトグラフィー:片塰満則
●美術監督:滝口比呂志
●色彩設計:野地弘納
●音響監督:岩浪美和
●音楽:菅野祐悟
●主題歌:angela「Calling you」
●音楽制作:キングレコード
●アニメーション制作:ポリゴン・ピクチュアズ
●配給:クロックワークス
●製作:東亜重工動画制作局

<キャスト>霧亥:櫻井孝宏/シボ:花澤香菜/づる:雨宮天/おやっさん:山路和弘/捨造:宮野真守/タエ:洲崎綾/フサタ:島崎信長/アツジ:梶裕貴/統治局:豊崎愛生/サナカン:早見沙織
(C)弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局

Stereo Sound ONLINE / 鳥居一豊

最終更新:5/24(水) 17:33
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