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館山沖に幻の深海サメ「メガマウス」 保護するも死ぬ、研究活用へ

5/24(水) 12:15配信

千葉日報オンライン

 国内外で発見事例が少なく幻の大型サメとされる「メガマウス」が22日朝、千葉県館山市洲崎の栄の浦漁港の沖合約1キロにある定置網に生きたままかかっているのを漁師が見つけた。専門家によると、体長約5・5メートルの雌で、生きて泳ぐ姿に接するのは珍しいという。同日夕以降、保護されていたいけす内で死んだとみられる。23日は確認のため、全国の主だった水族館関係者が現場に集結した。今後は研究に活用される見込みだ。

 メガマウスは22日午前4時半ごろ、水深約30メートルに張られていた定置網(縦約500メートル、横約60メートル)の中で発見された。地元でダイビングガイド業を営む「オーシャンダイバー波左間海中公園」が連絡を受け、引き取った。網から救い出し、近隣の波左間漁港の沖合まで船を使って移動させ、マンボウなどを飼育する直径50メートルのいけす内で保護した。

 23日は、この貴重な個体を一目見ようと、鴨川シーワールド(鴨川市)をはじめ、八景島シーパラダイス(横浜市)、海遊館(大阪府)、沖縄美ら海水族館(沖縄県)の担当者が同漁港に続々と集まった。館山市のふるさと大使「さかなクン」は22日に続き駆け付けた。

 約40人が船4隻に分乗し沖合へ。鴨川シーワールド魚類展示課の大澤彰久課長が海中に潜ると、メガマウスは体の左側を下にして深さ6~7メートルの海底に横たわっていた。「動きがなく、呼吸も確認できない状態」だった。

 鴨川シーワールドの説明では、メガマウスが確認されたのは世界で約100例、国内では静岡県由比町や三重県尾鷲市など約20例で千葉県内では初めて。深海に生息するとみられるが、詳しい生態は明らかになっていない。世界的に飼育例はなく、今回のように泳いでいる姿が見られた機会も少ないという。

 大澤課長は「館山の海はジンベエザメやウバザメなどが回遊して来る。メガマウスはプランクトンを食べていた際に網に入ったのではないか」と分析した。

◆「出合えてうれしい」
 「メガマウス発見」の一報を受け、保護していたオーシャンダイバー波左間海中公園には、見学希望のダイバーからの問い合わせが殺到した。

 同社によると、「潜って見られないか」といった電話が22日から多数かかり、直接訪れた客もいた。同社は、研究対象にもなる希少生物であることに配慮し、研究者や発見前の予約者だけを受け付けた。

 予約者の一人で、生きた状態のメガマウスを目の当たりにした川崎市の中村恭子さん(65)は「大きな目と口で、しっぽがやわらかくゆらゆら動くのが印象的だった。人生で会えるか分からないのに、出合えることができてうれしい」と感動していた。

 同社の荒川寛幸社長は、「数少ない発見事例に立ち会えた。この学術的な価値は計り知れない。専門家と相談して、研究に使ってもらうようにしていきたい」と話した。