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隈研吾氏、コンクリではなく「木材」で日本に自信を-新国立競技場

5/24(水) 4:00配信

Bloomberg

2020年東京五輪のメインスタジアムとなる新国立競技場。奈良・法隆寺を意識した5層の庇(ひさし)や、大量の国産木材と鉄骨を組み合わせた構造が特徴だ。高度成長期にあった1964年の前回五輪から時代は様変わりし、設計した建築家の隈研吾氏(62)は「成熟化した日本」をコンクリートや鉄ではなく、木で表現しようとした。隈氏は「64年の東京五輪とは全く対照的な時代で、新たな豊かさを見つけなくてはならないのが2020年だ」と言う。高度成長は望めず、人口減少時代に入った日本の成熟度を示すには「コンクリートや鉄という非人間的なものではなく、木でできたヒューマンで温かい、触ってみたくなるような建築」がふさわしいと話す。

新国立競技場をめぐっては、いったん採用された英国の故ザハ・ハディド氏の案が約2500億円と費用がかかり過ぎるとの理由で白紙となり、再コンペの結果、隈氏の案が採用された経緯がある。流線形のフォルムをしたザハ案とは異なり、大量の国産木材を使用し神宮外苑とも調和した「杜のスタジアム」をコンセプトとした。契約金額は約1500億円で、高さは約47メートルに抑えられた。

日本スポーツ振興センターの資料によると、新国立競技場は座席数が約6万8000席で将来は約8万席への増設が可能な計画。既に工事は始まっており、19年11月に完成の予定だ。隈氏は同競技場のほかにも、渋谷駅再開発や品川新駅など東京大改造に関わるビッグプロジェクトに関わっている。

同競技場に使用する国産木材の量は約2000立方メートル。木の積極的な活用は、温暖化ガスの削減や森の循環システムの維持につながる。「大きな公共建築にも木が使えるということになると、他の国にも波及して温暖化防止効果はばかにできない」と述べ、新国立競技場を世界へのメッセージ発信ともとらえている。

バブル崩壊

64年の東京五輪当時に10歳だった隈氏は、故丹下健三氏が設計した国立代々木競技場に刺激されて建築家を志した。戦後復興の起爆剤として五輪開催による経済効果を当て込み、国を挙げてスタジアムやホテル、新幹線、高速道路の建設に走り、建築と言えば「鉄とコンクリート」の時代だったという。

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最終更新:5/24(水) 14:07
Bloomberg