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SOFC発電効率のさらなる高みへ、火力発電超える65%実証

5/25(木) 7:10配信

スマートジャパン

■さらなる高効率化を進める3つの技術

 世界で初めて5kW(キロワット)級の出力規模で、AC発電効率65%相当を確認した――。東京ガスは2017年5月、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)の発電効率を向上させる技術を開発したと発表した。5kW出力規模のホットボックス*)において、DC端発電効率73%LHVを実証したという。AC発電効率で65%LHVに相当する。

【今回発表した技術のイメージはこちら】

*)ホットボックス:SOFCスタックや気化器、改質器などの高温で動作する主要部品を断熱材で覆った構成の呼称。

 SOFCは、電解質としてイオン電導性セラミックスを用いる固体型の燃料電池である。燃料電池の中でも特に効率の高い方式として知られており、燃料は水素の他に天然ガスなども利用できる。また動作温度が700~1000℃と高く、高価な貴金属触媒が不要なのが特長だ。

 家庭や業務用に実用化されているSOFCシステムは、45~60%LHV程度の発電効率を実現している。分散型電源としては最高効率だが、さらなる高効率が求められている。そこで東京ガスは、投入した燃料をより多くの発電に利用する2つの技術と、少ない未利用燃料で熱自立する技術を組み合わせることで、さらなる高効率化に挑んだ。

 1つ目は「SOFCの二段化」である。一般的なSOFCは劣化を防ぐために、投入した燃料の20%程度の発電に利用していないという。SOFCスタックを二段化して、一段目で発電した後ガスを二段目の発電に再利用することで、全体として発電に利用する燃料を多くすることができる。各段では30%の燃料を残すことで、劣化のリスクも低減した。

 しかし一段目で発電した後のガスは、未利用の燃料ガスよりも発電で生成したH2OとCO2の濃度が高くなっている。そのままでは再利用できる量が限られるため、発電後のガスからH2OやCO2を除去して、H2とCOの濃度を高めるために2つ目の技術「燃料再生」を行う。一段目と同程度の濃度の燃料ガスを、二段目でも発電に利用可能となる。

 3つ目は少ない未利用燃料で、熱自立する技術だ。SOFCの発電はホットボックスを外部から加熱することなく、発電に伴うSOFCスタックの発熱と未利用の燃料ガスの燃焼熱により、必要な高温を維持する熱自立が必要である。投入した燃料をより多くの発電に利用すると、未利用燃料が少なくなり、熱自立に利用できる燃焼熱は減少する。

 東京ガスは「高温ガスを有効に利用する技術の開発や、ホットボックスを小型化して放熱を減らすことで、SOFCの高効率発電時でも熱自立できるようにした」と語る。

 今後は、プロトタイプ開発に向けた研究を進めていく。なお同技術の詳細は、2017年5月25~26日に開催される「燃料電池シンポジウム」で発表するとした。