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【大相撲夏場所】苦渋の休場決断…出場にこだわった稀勢の里の焦り

5/25(木) 11:31配信

東スポWeb

 大相撲夏場所11日目(24日、東京・両国国技館)、初優勝から3連覇を目指していた横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が休場した。3月の春場所で左上腕二頭筋と左大胸筋を損傷。今場所は患部にサポーターとテーピングを施す痛々しい姿で土俵に上がり続けたが、15日間を全うする前に力尽きた。当初から苦戦が予想される中、なぜ和製横綱は出場にこだわったのか。その背景を追った。

 稀勢の里が苦渋の決断を下した。夏場所11日目に日本相撲協会へ「左大胸筋損傷、左上腕二頭筋損傷で約1か月の通院加療」との診断書を提出して休場。初優勝から3連覇の可能性が完全に消滅した。師匠の田子ノ浦親方(40=元幕内隆の鶴)によると、10日目の夜と11日目の朝にかけて稀勢の里と話し合い、本人から「力が入らないので休場させてください」との申し出を受けたという。

 田子ノ浦親方は「今まで本人から(休場を)言ってくることはなかった。横綱としての責任(地位に見合う成績)もあるから、そういう決断を出したと思う」と弟子の胸中をおもんぱかった。春巡業は全休してケガの回復を優先したが、関取衆と稽古したのは場所直前の5日間だけ。本場所は急仕上げで乗り切れるほど甘くなかった。

 本番に入ってからも、最大の武器である左は十分に使えずじまい。部屋付きの西岩親方(40=元関脇若の里)は「(事前の準備に)もう少し時間が欲しかった」と横綱の本音を代弁した。春場所は終盤に大ケガを負いながら強行出場。誰もが不可能と思っていた劇的な逆転Vにファンは熱狂した。そんな経緯があるだけに、本来なら今場所は初日から全休しても誰も責めることはなかったはずだ。

 ただ、稀勢の里本人を含めて部屋の認識は違っていた。今場所の新番付が発表された直後、田子ノ浦親方は「(稀勢の里に)無理はさせられないけど、今場所はそうも言っていられない」と焦りの色をにじませていた。実際、空前の稀勢の里人気で夏場所の前売り券は即日完売。場所前に都内で開かれた横綱昇進披露宴には1500人以上もの関係者が詰め掛けた。

 いやが応でも高まる周囲からの期待に、稀勢の里サイドが多少の無理を承知で出場を選択するのも自然な流れだった。

 今後の焦点は次の名古屋場所(7月9日初日、愛知県体育館)までの回復具合。横綱が2場所連続で途中休場すれば、進退問題にも直結する。今度こそ、万全の状態で土俵に戻ることができるのか。

最終更新:5/25(木) 11:31
東スポWeb