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新料金プラン「docomo with」に質問集中――ドコモ吉澤和弘社長と一問一答

5/25(木) 11:22配信

ITmedia Mobile

 既報の通り、NTTドコモは5月24日、「2017 夏 新サービス・新商品発表会」を開催した。夏商戦向けの新端末に加え、新しい料金割引「docomo with」、スグ電の機能拡充、Amazon.co.jpにおけるキャリア決済対応など、多くの発表がなされた。

【発表会場ツアーでもdocomo withをアピール】

 同社の吉澤和弘社長は、発表会中の質疑応答と発表会終了後の囲み取材で記者からの質問と応じた。この記事では、その時の模様をお伝えする。

●質疑応答

―― 毎月1500円を割り引く「docomo with」の狙いは何か。

吉澤社長 1つの端末を長く使うユーザーがお得に使えることを狙っている。今までの端末購入補助、例えば「月々サポート」は端末をお手頃価格で手に入れるために提供していたが、docomo withには端末購入補助が基本的にない。端末を定価で買っていただくことで、料金を1500円ずっと引き続ける。2年契約が切れ、3年目、4年目もずっと1500円引かせていただく。

 端末をずっと使っていただく方には、そういう(値引きの)メリットを享受してもらう。2年ごとに端末を買い換えるユーザーだけにメリットがあり、ずっと使う人にはメリットがないとか、長く使っているユーザーが端末補償を負担しているといわれてきたが、今回はそうではなくて、端末を長く使ってもらうユーザーにメリットを提供する狙いだ。

―― 吉澤社長はかねがね「プライスリーダーではなくマーケットリーダーに(なる)」といっていたが、今回は料金の値下げを行った。戦略に変更はないのか。

吉澤社長 先日発表した中期戦略の中でも、「マーケットリーダー宣言」をしている。今回の料金もそのマーケットリーダーの一端として捉えてもらえればと思う。単に料金のプライスだけでなく、ユーザーに対するアフターフォロー、ドコモが提供するサービスは全部享受していただける。新しくドコモが提供するサービスも享受できるわけなので、そういったものも含めて今回の料金を設定させていただいた。プライスリーダーということではなくて、マーケットのリーダーとして進むことについては変わりはない。

―― docomo withの端末として「arrows Be」と「Galaxy Feel」の2機種が選ばれているが、なぜこれら機種なのか。昨年の「MONO」の流れに位置付けられているのか。

吉澤社長 今回は新プランの第1弾ということで、新たに提供する端末2機種を対象とさせてもらっている。次の端末についても、当然検討していきたいと思っている。「MONO」は端末購入サポートがあるので、これには該当しないが、次の機種を対象にするかどうかはぜひ検討していきたい。今後、どの端末を対象とするのかは、状況やユーザーの声を聞きながら考えていきたい。

―― docomo withは、例えばSIMフリーのスマホや中古スマホを代わりに使っても1500円割り引くのか。また、対象2機種以外のユーザー、現在のユーザーから見ると「なぜその2機種のユーザーだけ1500円安いのか」「普通に使っている我々よりもなぜ安くなるのか」という声が出ると思われるが、どう考えているのか。

吉澤社長 まず対象の端末を買ってdocomo withの料金プランに一度入ってもらえれば、例えば2年後にもう1台、SIMフリー端末や中古端末を持っていて、その端末を対象端末と取り替えていただければ、1500円引きはそのまま継続する設計にしている。

 今の端末のユーザーは、(基本的に)月々サポートという端末購入補助を受けている。そういう契約形態のプランなので、まずは対象端末でdocomo withに入ってもらうことをスタートにしたいと思っている。今後、いろいろな意見が出ると思うので、状況をしっかり踏まえた上で、どう対応するかだが、基本的には対象端末でdocomo withを選んでもらうことが第一だと考えていただきたい。

―― 総務省の検討会の議論の中で、スマホの料金が複雑で分かりにくいという話があり、各社がいろんな新プランを考えてきたという経緯がある。さまざまなユーザーに応えていきたいという気持ちは理解できるが、昔のようにいろいろなプランが乱立して、また分かりにくくなってしまうのではないか。

吉澤社長 料金が複雑という声を聞いて、「カケホーダイ&パケあえる」という新しいプランを2年半前に出した。いわゆる通話定額で、パケットは従量的にするということでシンプル化を図った。そういった中でも、パケットパックのプランも増えてきて、また複雑になったといわれているのは確かだ。

 そうはいいながらも、いろいろな立場のユーザーからの声がある。端末購入の恩恵を受けない、長期に同じ端末を使っているユーザーのニーズに応えるという話がもともとあったので、それにある程度応えなくてはいけないということで(導入した)。

 そうはいいながら、ユーザーがあまり選んでいないプランはだんだん集約するとか、なくすとか、新しいプランに移行していくためのアクションを起こして、カケホーダイ&パケあえるの方にユーザーをシフトしていくようにしたい。全体的にはシンプル化を図りたいが、ユーザーのいろんな要望に対応せざるを得ないということを理解していただければと思う。

●囲み取材

―― docomo withは端末の購入サポートをやめる代わりに月々1500円割り引くということだと思うが、収益に与える影響はどうか。

吉澤社長 当然、収入が減ることになる。ただ、月々サポートがなくなるのでコストは減る。docomo withでは端末そのものは定価で買っていただくので、我々が仕入れる価格、調達価格に対して売値はそんなに高くない。粗利分は他の端末に比べると少し小さくなるというか、仕入れ値にちょっと(利益分を)乗せさせていただいて、それを正価で買っていただくことになる。料金が下がって収入は下がるが、月々サポートはなくなる。粗利は少なくなるので、我々の収入がその分、少なくなる。その辺の足し算、引き算ということだ。

―― そうすると、そんなに(収益には)影響はないということか。

吉澤社長 いや、今年度(2017年度)はかなりある。かなりというか、たぶん数十億円くらいの規模になる。

―― ユーザーはどれくらいの期間、端末を使うという計算なのか。今までの端末購入補助と比べると、4年以上は使わないとユーザーの得にはならないのではないか。

吉澤社長 正式には出していないが、端末の値段は2万円台半ばと3万円台半ば程度。月々1500円割引なので、24カ月だと3万6000円の割引になる。2万円台半ばの端末であれば、2年経つと端末代金は相殺される。そういう計算は成り立つ。

―― docomo withか従来通りの月々サポートか、機種によって選んでもらう形もできたと思う。機種を絞る形で提供することになったのはなぜか。

吉澤社長 新しい料金なので、新しく出す端末にまず適用した。既存のものにdocomo withを適用しようとすると、月々サポートタイプの販売方法と、今回の販売方法が同じ機種で混在する。ユーザーにとって、どちらがお得なのか、我々自身もどういうお勧めの仕方をしていいのか、非常に複雑になる。

 今回の2機種は端末購入補助の月々サポートは適用しない。次の端末をどういう風にするか、ユーザーの反応や状況を見ながら判断することになると思う。今は完全に分けてやらせていただく。

―― 他のキャリアにない、ドコモ限定のモデルから始めたというような意味もあるのか。

吉澤社長 Galaxy Feelについては、完全にドコモ独自のモデルになっている。arrows Beもかなりチューニングしてもらっている。そういう意味で、ドコモのモデルといってもいいかと思う。

―― ユーザーは、高価格帯モデルの方が何年も使えると感じると思うが。

吉澤社長 フラッグシップモデルは定価が8万円から10万円になる。当然割賦も効く(分割払いで購入できる)が、それを定価で買っていただけるユーザーがどれくらいいるのか。買いやすい料金で、月々サポートの適用を受けて買うユーザーがほとんどだと判断している。

 「定価で買うのだから1500円ずっと割引してほしい」という話が色々出てくると思う。それについては、状況を見て判断したい。

―― docomo withの利用者層はどう考えているか。

吉澤社長 基本機能をメインに使ったり、フィーチャーフォン(ケータイ)を長く使っていて、乗り換えたスマホも長く使う層だと思う。若者はあまり想定していない。

―― 収益への影響が数十億円という件は、減益要因で、単純に持ち出し費用、収益が減るということか。

吉澤社長 初年度はそのくらいかと思っている。先日の通期決算(説明会)で、シンプルプランとウルトラシェアパック30、ポイントの還元で300億円、それにさらに数百億円加わると話した。その数百億の一部。

―― (docomo withは)サブブランド対策の意味合いもあるのか。

吉澤社長 Y!mobile(ソフトバンクとウィルコム沖縄)さんとかUQ mobile(UQコミュニケーションズとUQモバイル沖縄)さんに、ある程度ポートアウト(転出)している数は当然ある。ポートアウトを防ぐという意味にもつながるが、どちらかというと今いるユーザー、今、長くドコモを使っていただいているユーザーに、この機種を使っていただいて、ずっと長くドコモにいてもらうことが基本の考えだ。

 10年、15年、端末を長く使ってもらっているけれど、料金面でまだまだ恩恵を受けていないユーザーを留めて、長く使っていただく。結果としてポートアウトが少なくなって、ドコモに留まっていただくという狙いは当然ある。ただ、セカンドブランド対応という意味合いではない。

―― 実質価格的な見方からすると、docomo withは“実質マイナス無限円”のように、使えば使うほどマイナスが大きくなる。ガイドラインをクリアするためにミドルレンジ以下(のスペックの端末)にしなければいけなかったという事情があったのか。

吉澤社長 今は端末購入補助に対してはルールがあるが、基本的にdocomo withは期限を定めない。(そのため、)ガイドラインに照らして問題ないということを確認している。「1500円割引」と言っているが、これは実際にはタリフ(料金)になる。

―― いつ頃に(docomo withの)導入を決めたのか。

吉澤社長 (携帯電話料金や提供条件に関する)タスクフォースが始まった頃には「頻繁に端末を買い換えるユーザーだけがメリットを得ていて、長く同じ端末を使っているユーザーの料金が高止まりして、それが買い換えるユーザーの割引に反映されているのではないか」と言われてきた。ただ、我々は料金の多様性を前々から検討していた。

 8年前か9年前に、これと同じような料金があった(筆者注:FOMAの「バリュープラン」と「ベーシックプラン」のことと思われる)。そういう意味で歴史は繰り返すではないが、多様な料金プランということで検討している。

―― 以前のMONOのようなスタイルを今後も継続するのか、それともdocomo withの方に移行するのか。

吉澤社長 ミドルレンジやローレンジモデルに対して、docomo withの方に入れるのか、今のような600数十円程度で売るのか、その判断はしなくてはいけないと思う。できればdocomo withの方に寄せていきたいというのが今の思い。今回出してみた状況をしっかり見た上で判断する。

―― 「スグ電」は終話もタッチ不要でできるようになったが、どういう狙いか。

吉澤社長 センサーなど、さまざまな技術を発話とうまく組み合わせれば、そういった機能ができるという検討はずっと進めていた。スマホはタップしなければいけないが、例えばシニアは発信や終話時に、どのボタンを押せばいいのか迷うことがある。(スグ電は)そういったところに対応できる。タップをしなくてもいいテクノロジーで、便利を提供するのが狙いだ。

―― 格安スマホの競争においても、優位に立つというような狙いはあるのか。

吉澤社長 そこまでは考えていない。格安スマホの事業者の方がどういう機能を付けるかは全然わからないが、それで格安スマホと対抗しようというイメージはない。便利なもの、今までにないものを出していこうという思い。サービス、料金も含めてトータルでユーザーに受容していただく狙いがある。

―― サブブランド対抗ではないということだが、対抗するような、さらなる料金プランやポイント還元はこれから考えていくのか。

吉澤社長 サブブランドに対抗というか、結果としてうまくサブブランドに対処できる結果になるかもしれない。docomo withがどういう風になるか見えないが、逆に効果があるということであれば、結果としてサブブランド対応ができたということになると思う。

―― docomo with第2弾というものが出るのか。

吉澤社長 サブブランド対抗ということで何か出すかということでは、今は明確にはない。

最終更新:5/25(木) 11:22
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