ここから本文です

【日本ダービー】アドミラブルが最大のジンクスを破るこれだけの理由

5/25(木) 21:34配信

東スポWeb

【日本ダービー(日曜=28日、東京芝2400メートル)POG日本一 吉田竜作のマル秘週報】今週末で2016―17シーズンのPOGもフィナーレ。皆さんはどのような1年を過ごしたのだろうか?

 競馬を、特にPOGも一緒に楽しんでいると、とにかく時間の流れが速く感じる。ファンにとっても1週間のサイクルは短いだろうが、これを仕事にしていると本当にあっという間。「追い切り取材→確定作業→週末の競馬場での仕事」という流れに加え、POGの指名馬を追い、同時進行で次の年の主役となる1歳馬などを調べていたら…1年が365日では足りない感覚に襲われる。まして、この業界の主役たるトレセン関係者は言わずもがな、だ。

 しかし、時にその時間の流れが「遅く感じられる」ことがある。過去に日本ダービーを制した例がない青葉賞馬アドミラブルを担当する蛭田助手は、今まさにその真っただ中にいるようだ。

「全体的な流れを言えば、あっという間という気もしますけど、青葉賞を勝ってからの時間の流れはとにかく遅く感じて。正直、きついっすね」

 アドミラブルにとっての救いは、彼が明るく、厩舎の雰囲気も和やかなこと。張り詰めたムードというのは担当馬にも伝わってしまうものだが、アドミラブルが一心不乱にカイバを食べる様子は見ているだけで和むし、大一番を目前に控えているとは思えないほど、リラックスしているのが伝わってくる。

 アドミラブルに待ち受けるジンクスは強大だ。ご存じの通り、シンボリクリスエス(2002年)、ゼンノロブロイ(03年)、フェノーメノ(12年)といった歴代最強クラスの青葉賞馬が日本ダービーでは2着と涙をのんできた。もっと広いくくりにしてデータを拾っても、前走で2400メートルを使った馬は〈0・8・6・91〉、中3週のローテ馬は〈0・9・5・96〉といった絶望的な数字を突き付けられる(データは全て1986年以降のもの)。

 ただし、マイナスのデータだけではない。例えばアドミラブルのようなキャリア5走目となる馬の成績は〈9・8・3・75〉で、1着馬を最も多く輩出。また生年月もアドミラブルと同じ3月に生まれた馬の成績は〈12・10・10・170〉で最多だ。

 個人的にダービーで重視してきたのはこの生年月。実は「1月生まれのダービー制覇はない」もジンクスになっていたのだが、昨年のマカヒキが1月生まれとして初めてダービーを制覇。ジンクスはあっけなく破られた。これについては補足しなければならないことがあって、最大のライバルのサトノダイヤモンド、2歳王者のリオンディーズもまた1月生まれだった背景がある。

 極端な話になるが、出走馬すべてが1月生まれとなれば、勝つ馬も当然1月生まれの馬になる。1月生まれが上位を形成していた昨年はジンクスが破られて当然の年だったのだろう。

 今年のアドミラブルがジンクスを破ってくれそうな期待感に包まれているのも、この「横の関係」が大きく作用している。皐月賞が波乱の決着。“本流”の牙城がかつてないほどにモロく見えるのだ。対してアドミラブルにとって大きな強みになっているのは、強さの裏付けとなる確固たる数字(時計)を、複数持っていることだ。

「レースレコードとなった青葉賞の時計(2分23秒6)ばかりが言われるけど、俺は未勝利勝ちの時に思ったね。あの時計は普通の“走る馬”レベルで、出せるものではないと」(音無調教師)

 トレーナーが言う未勝利戦(阪神芝外1800メートル)勝ち時計1分45秒8は同日の古馬オープン・大阪城Sよりも1秒3も速く、開催こそ違うが、同舞台の毎日杯(勝ち馬は後の皐月賞馬アルアイン)と比較しても0秒7も上回る。「まあ時計なんてペース次第でなんぼでも変わるものだけど」と付け加えたトレーナーだが、アドミラブルを語る時、自信に満ちあふれているのは、やはり確固たる強さの裏付けがあるからなのだろう。

 さらにはジンクスに挑むことになったローテーション自体が、行き当たりバッタリで決まったことではないことも強調しておきたい。

「未勝利を勝った時に俺は“毎日杯から直接ダービーに行きましょう”と提案した」という音無師。対して近藤英子オーナーが提示したのはダービーディスタンスにこだわった使い方だった。

 誤解をしないでいただきたいのは近藤オーナーは基本的に馬に対して無理をさせる人ではない。実際、2年前にアンビシャスがプリンシパルSを勝ちながらダービーを回避したのも、馬の状態と適性に合わせたため。そんな慎重なオーナーに代わって音無調教師がその“真意”を明かすには「何より経験を積ませたかったし、それに耐えられる馬と判断したから」。

 険しい道のりも、こなしてしまえば最高の経験値を得ることになる。JRA史上、最も不可思議なジンクスは2017年5月28日をもって、ついに打ち砕かれるのではないか。その時、蛭田助手とアドミラブルは安息と歓喜の時を迎えることになる。

最終更新:5/25(木) 21:34
東スポWeb

スポーツナビ 競馬情報

重賞ピックアップ