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間一髪のプレーを演出する男、阪神・高代コーチの練習ルーティンとは…

5/25(木) 14:00配信

デイリースポーツ

 阪神の練習を見ていると、気になってくる事が何かしらある。よく選手に目が行きがちだが、少し視野を広げて見ると興味深いことが目に付く。そこで気になったのは高代ヘッドコーチの行動。試合前練習終了間際、必ずと言っていいほど行く場所がある。

 基本的にコーチ陣は選手への指導を行う。フリー打撃をするためのケージの横でノックを打ったり、キャッチボール相手を務めたり。選手はそれぞれのメニューを終えると、試合に備えるためにベンチ裏へと引き返していく。一方、コーチ陣はバッティング練習終了後のボール拾いをするためにもグラウンドに残る。

 高代ヘッドコーチが動くのは選手のサポートを終えた、フリー打撃の終盤。向かう先は“定位置”である三塁コーチャーズボックス付近だ。試合では走者に指示を出す重要な役割を果たしている同コーチ。「自分の職場やからね」。得点に絡む状況判断をする同コーチ。責任は重く、その役職の技量を問われることだってある。それだけにこの日々のルーティンはどれだけ大切なことなのか、手に取るように分かる。

 後ろ姿からも真剣さが伝わる。1球、1球、打球を見つめる。飛球であれば落下地点。ゴロであれば、野手の間を抜けるかどうか。野手の守っている位置などを想定して走者に指示を思い浮かべているように。心の中で腕を回したり、ストップをかけたりしているようにも見えるが「それはしてないけど、あそこでロケーションを確かめている」と話す。こうしたコーチ歴の長いベテランでも地道な確認作業を怠らない。金本阪神が変革の一つに挙げる「走塁」を支えている。

 その象徴的なシーンを挙げるとすれば5月6日・広島戦(甲子園)。9点差を逆転したあの試合を覚えている人は多いだろう。8-9と、1点差まで追い上げた七回1死一、二塁。鳥谷の放った打球は、広島の二塁・西川の下へ。後方へまさかのファンブル。それを見た江越が二塁から快足を飛ばして一気に本塁へ返った。一時「セーフ」がコールされたがビデオ検証の結果「アウト」に。これも最高のプレーだったが、言いたいのは同点を逃した後だ。

 2死一、二塁となって再開。糸原が右前打を放った。二走は中谷。同コーチが腕を振り、指示を受けた中谷は全速力でホームへ向かった。際どいタイミング。タッチの差で「セーフ」をもぎ取り同点に追いついた。試合後、高代ヘッドコーチは言った。

 「あれがアウトだったら、球場全員を敵に回す。心臓が止まりそうだったわ」

 あの時の選手たちのプレーも忘れられない。でも、この言葉は、もっと忘れられない。私たちが経験したことのないようなプレッシャーを背負って戦っている-。球場に足を運べば、見てほしい。得点が入った時の、高代ヘッドコーチの安どした表情も。(デイリースポーツ・山本真吾)

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