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<名古屋・地下鉄アスベスト飛散>市交通局、報告書をいまだ公表せず 井部正之

5/25(木) 6:10配信

アジアプレス・ネットワーク

◆真っ先に説明すべきは、曝露した駅利用者や駅員らのはずなのに…

約3年前に名古屋市地下鉄・六番町駅構内でアスベストが飛散した問題で、同市交通局は3月末に報告書を完成させていながら、いまだ公表していないことが分かった。

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市交通局は六番町駅構内にある換気機械室の吹き付けアスベストの除去を計画。ところが、工事を開始した2013年12月12日から同13日にかけて、アスベストの1つでもっとも発がん性の高いクロシドライト(青石綿)が駅構内で高濃度に飛散し、駅利用者らが曝露した。

この件が大きく報じられたこともあり、2014年2月市交通局は有識者による「六番町駅アスベスト飛散にかかる健康対策等検討会」を設置。この飛散事故による駅利用者らの健康影響を調べてきた。そして、事故からちょうど2016年12月12日、同検討会はその間の調査結果に基づき、市交通局に対し、健康不安を感じる人びとに対する長期的な相談体制の確保や再発防止の徹底を求める意見書を提出した。

この際、市交通局に対して今後の対応を聞いたが、意見書を検討した上で決めるので時間が欲しいとのことだった。それで半年近く経った5月22日に連絡し尋ねたところ、営繕課の濱田祥孝課長は「検討会での記録のとりまとめができまして、いま構成委員の先生方にお渡ししつつある」と明かした。

濱田課長によると、完成したのは3月末。公表したのかと聞くと、「先生方にお渡しした後に、データをホームページに公表する」という。

以下、市側とのおおよそのやり取りである。

──住民に真っ先に見せるべきでは?
「先生方にできあがった、製本したものをまだお渡ししてませんので」

──3月末なら渡す時間はいくらでもあった
「まだお渡しできていない方がいる」

──何人まだなのか
「2人」

──当初から住民軽視といわれてきたが、何も変わらなかったとしか思えない
「遅くなり申し訳ありません。結果でございますが、議事録や資料で、速やかに公表させていただいておりますので。(報告書は)いままでの記録をまとめただけ。新たに何か変わるわけではない」

──いつ公表するのか
「先生方にお渡しする手続きをとったあとに速やかに公表します」

3月末の完成なら、すでに2か月近い。それをいまだ公表も記者発表もしていないのだから驚きだ。

だいたい検討会委員に渡す時間は十分あった。報告書を作成では委員にも確認しているはずだし、仮に完成版を見ていないとしても、メールでデータファイルを送ればよい。製本したものにしても郵送すれば済む。

だが、市交通局は委員に対して直接手渡しすることに異常にこだわり、公表は二の次と考えている。

市交通局が真っ先に説明すべきはアスベストを曝露させた駅利用者や駅員らのはずだ。それを2カ月もおこたり、平然としている感覚が信じがたい。

アスベスト被害者らの支援活動に取り組み、この飛散事故についても追及してきた「名古屋労災職業病研究会」の成田博厚事務局長は「2カ月も経ってまだ公表していないというのは、市の意識の低さの現れです。あれほど大きな問題なのだから報告書ができた段階で、速やかに公表し、記者発表すべきだ」と指摘する。

だが、市側はあくまで委員に手渡しした後での公表にこだわり続けている。

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