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田植えできぬ困った 地割れ81カ所 農地近寄れず 「地下深くの地滑り」原因 大分県豊後大野市朝地町綿田地区

5/25(木) 7:01配信

日本農業新聞

 81カ所で地割れが確認され、一部が立ち入り制限区域に指定された大分県豊後大野市の朝地町綿田地区で、田植えを前に農家が水田に足を踏み入れることができず苦境に立たされている。国は24日、専門家を現地に派遣、地割れの原因を「降雨による地下深くの地滑り」と分析。収束には数カ月かかるとの見通しを示しており、影響は長引きそうだ。

 大雨の降る24日、立ち入り禁止区域から300メートル離れた水田で、同地区で50年以上稲作を営む後藤啓文さん(68)がトラクターを走らせた。後藤さんは水田6ヘクタールのうち、半分近い2・5ヘクタールが制限区域に含まれて入れなくなったため、使える水田での作業を急ぐ。

 後藤さんが異変を感じたのは16日。ある民家の前に小さな亀裂が走っていたのを目撃した。翌朝、後藤さんの水田にも地割れが発生。底の裂け目に水が音を立てて吸い込まれていた。

 後藤さんが育てた苗1000枚のうち、400枚が行き場を失った。「制限区域にあるのは30年近く耕作してきた水田。こんな形で途絶えてしまうのはショックが大きい」と肩を落とす。

 市は現在までに81カ所の亀裂を確認。23日に地割れの中心地から南北約900メートル、東西約630メートルを立ち入り制限区域に指定した。避難勧告を受けた9世帯17人のうち、数人が農家だ。

 同市は、制限区域の農家を対象に説明会を開催。今後の見通しや注意点などを説明した。同市の災害対策本部は「共済関係から被災農家を支援できないか検討している」としている。

収束まで数カ月

 現地を調査した土木研究所地すべりチームの藤平大上席研究員は24日の会見で「地割れの原因は地下深くで発生した地滑り」との見解を示す。12日に日量100ミリの降雨があり、地下水が増えたことが要因とみる。亀裂の増加が収まる気配がなく、梅雨時期は地滑りの進行が激しくなることから「収束には短くても数カ月かかる」(同)と分析する。

 発生地区の傾斜がそれほどきつくないため、大規模な土砂崩れは起こりにくいとみている。

全国で毎年1000件

 同地区では1988年にも地割れが発生している。国土交通省によると全国で毎年、土石流や地滑り、がけ崩れは1000件前後発生している。(金子祥也)

日本農業新聞

最終更新:5/25(木) 7:01
日本農業新聞