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神戸製鋼、車向け中国アルミ・銅戦略 母材問題解消で19年にもフル生産

5/25(木) 16:38配信

日刊工業新聞電子版

母材調達、競合相手と手を組む

 神戸製鋼所はアルミニウム・銅事業で中国市場を着々と深耕している。背景にあるのは中国の自動車生産の拡大だ。2025年には現在比18%増の年間3300万台規模に生産が増えるとの試算もある。環境規制に対応するための車の軽量化や電装化も進展。完成車メーカーや車部品メーカーの現地調達ニーズが強まる中、車用アルミ材や端子コネクター用銅板など神鋼が持つ商材の一層の受注拡大を目指す。

 「中国も先進国並みに環境規制が厳しくなる。軽量化は待ったなしの状況だ」。車用アルミパネル材を生産する天津の拠点「Kobelco Automotive Aluminum Rolled Products (China) 」で18日に開いた開業式で、神鋼の川崎博也会長兼社長はこう強調した。

 車のボンネットや屋根などに使うアルミパネル材。天津工場は、日本の真岡製造所(栃木県真岡市)から母材の供給を受け、アルミパネル材の下工程となる熱処理や表面処理を手がけている。工場内には全長約160メートルの熱処理ラインと表面処理ラインが並び、年間10万トンの生産能力を備える。

 16年4月の量産開始から1年強が経過し、足元の生産量は月2500トン程度。ドイツや米国の高級車メーカー向けの出荷が中心で、日系メーカー向けは現在サンプル評価の段階にある。

 神鋼の試算によると、中国市場でのアルミパネル材の需要は現在年5万トンで、神鋼と米アルミ圧延大手のノベリスがシェアを二分している。この総需要が25年には同30万トン以上に急成長するとみており、「20年ごろには天津の生産能力は間違いなくいっぱいになる」と、神鋼のアルミ事業を統括する金子明副社長は断言する。

 課題となっていた母材の確保にもめどをつけた。提携先として選んだのは、競合相手のノベリス。ノベリスが韓国・ウルサンに持つ母材工場に神鋼が出資。ウルサンで生産する母材の半分を神鋼が引き取り、天津へ供給することにした。

 現在、神鋼は母材を真岡製造所のみで生産している。国内の飲料缶や車向けの需要への対応に加え、天津の生産が増えると、母材が足りなくなる恐れがあったが、懸念はひとまず解消された。

 母材調達の面ではパートナーとなったノベリスだが、中国市場では引き続きライバル関係にある。さらに今後、中国現地のアルミ圧延メーカーが車用パネル材の市場に参入することも予想される。競争激化が見込まれる中、川崎会長兼社長は「表面品質、強度、加工性などで差別化し、要求品質の高いところでシェアを取っていく」と戦略を明かす。

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