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『ローガン』で描かれる“最後のウルヴァリン”とアメリカ大統領

5/25(木) 20:14配信

Stereo Sound ONLINE

ウルヴァリン=ヒュー・ジャックマンはこれで見納め

 『X-メン』(2000)以来、17年間にわたってミュータント“ウルヴァリン(=ローガン)“を演じてきたヒュー・ジャックマン。6月1日に公開される『LOGAN/ローガン』をもって、ウルヴァリン役から卒業となる。“X-MENシリーズ最高傑作“との呼び声も高い本作を掲げ、ヒューと監督のジェームズ・マンゴールドが来日。本日5月25日、東京・有楽町のザ・ペニンシュラ東京で記者会見を行なった。

 監督のマンゴールドは、『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013)のほか、2001年の『ニューヨークの恋人』でもヒューとタッグを組んでいる。『17歳のカルテ』(1999)や『3時10分、決断のとき』(2007)など、傑作ドラマを作った人物だ。

 冒頭、ヒューは「コンニチハ。ワタシハ ニホンニキテ トテモ ウレシイデス」と日本語で挨拶。さらに「日本は大好きで、何度来ているかわからないよ。多分、世界中で一番訪れてる国なんじゃないかな」と続け、場内の記者たちを喜ばせた。

 “最後のウルヴァリン“となった本作については、「最高のパーティーに参加すると、いつ出ようかタイミングが難しいでしょう? 僕にとってのウルヴァリンはそれ。『ウルヴァリン:SAMURAI』が終わった後、マンゴールド監督と本作の相談を始めて、2~3年前に“これを最後にしよう“と決めたんだ。完成した今は、安堵と満足でいっぱい。監督には最高の贈り物をもらったよ」と話す。

 「いつか孫が生まれたら、埃をかぶったこの作品のDVDを見せたいな。もっとも、その頃にDVDはないかもしれないけどね」と、オーディオビジュアルのファンが気になる(?)発言も飛び出した。


■大人向けドラマのために“敢えて”R指定を!

 監督は「ヒューとはずっと、作品の方向性について話し合ってきた。ウルヴァリンを称えるため、伝統を壊して前とは違うものを作りたい、街や世界や惑星を救うのではなく、もっと違った物語にしたいと思ったんだ」という。本作は、ローガンがローラという謎めいた少女の逃亡を助けながら旅する物語だが、激しいアクションだけではなく、ふたりの心情に寄ったドラマが色濃い。これまでのシリーズとは一線を画した仕上がりで、観た人に驚きと感動を与える。

 なお、ローラ役のダフネ・キーンは2005年生まれ。監督は「彼女は目が生き生きしていて、言葉がなくても人に感情を伝えられる」、ヒューは「ローラはほとんど喋らず怒りを剥き出しにし、48歳の僕でも演じるのが難しいと思う役なのに、彼女はたった11歳で軽々とやってのけた。彼女を発見したこと自体が奇跡」と絶賛する。

 この作品は、R指定であることも大きなポイントだ(アメリカでは17歳以下は保護者の同伴が必要、日本での指定はR-15)。年齢制限をすると興行収入への影響が予想されるため、一般的に映画会社は渋るものなのだが……。

 共同脚本も手掛けた監督は、「R指定がないと、9歳の子でもわかるように脚本を書かなきゃいけない。そうじゃなくて、もっと大人向けのドラマにしたかったんだ。だから、最初からスタジオにR指定が付くことを了承してもらってね。おかげで制限されず、自由にできたよ」という。

 「たとえば、チャールズ(=プロフェッサーX、演じるのはパトリック・スチュワート)とローガンが語る7分のシーンがある。でも、もしR指定がなかったら1分半にされちゃうよ。肉体の老いについて話すおじさん2人のシーンなんて、子どもは耐えられないでしょ?」と、茶目っ気のある笑顔を見せる。


■制作中は大統領選の真っ只中だった

 そして、メキシコ系の少女を白人の男性が助け、カナダとの国境があるノースダコタを目指すというストーリーは、現代のアメリカのメタファーとなっているようだ。

 「この作品の制作中は、ちょうどアメリカ大統領選挙の時期だった。作中で子供たちが“USA!”と叫ぶシーンは付け加えたものだよ。最近の映画、特にシリーズものや大作は、人々の思考を眠らせるような、空っぽなものが多いと思わないかい? そういったキャンディが溶けて消えてしまうような作品じゃなく、つねに世相を取り込んだり、挑発的とも思える内容の作品を作っていきたいんだ」と監督。そういった面でも、大人が鑑賞するに相応しい作品となった。

 『LOGAN/ローガン』は6月1日から上映。なお、金子裕子さんの連載「Behind the CAMERA」で、ヒュー・ジャックマンの素顔について近日公開予定なので、こちらもお楽しみに!

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最終更新:5/26(金) 18:55
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