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ビートルズ、「サージェント・ペパー」から半世紀 その真価とは

5/25(木) 17:20配信

MusicVoice

 ザ・ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド-50周年記念エディション-』が5月26日に、世界同時発売される。同作のオリジナルは1967年6月1日に、8枚目のスタジオアルバムとして発売された。今回は新たなステレオ・ミックスに加え、オリジナル英国盤の「Edit for LP End(レコードの溝の最後の部分)」が収録されたものとなる。2枚組、LP、6枚組ボックスセットの4形態での発売で未発表音源や映像素材などが収録される。4月某日に関係者向けの試聴会がおこなわれ、発売より一足早くその音源を2CDの形態で聴く機会に恵まれた。ここではその音源とオリジナルの相違点と、グラミー賞4冠に輝き、米国で「国家保存重要録音台帳」に登録されたまさにポップミュージックの“世界文化遺産”と言っても過言ではない同作の真価について再考したい。

歴史的名盤の価値

 『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』は、当時の英国チャートで27週間に渡り1位の座をキープ、実に148週間もの間、チャート内にとどまり続けるというロングヒットを見せた。米国においても200位に88週間とどまり、その内15週間1位をキープした。そして、同作は1967年のグラミー賞で最優秀アルバム賞ほか4部門を獲得している。2003年には米国議会図書館が同作を“文化的、歴史的、もしくは審美的観点から重要なアルバム”と位置づけ「国家保存重要録音台帳」に登録している。

 同作がリミックスされ、セッション・レコーディングを追加してリリースされるのは初。また、ビートルズの作品がリミックスされるのは2003年の『レット・イット・ビー・ネイキッド』以来となる。本作の為にメンバーのポール・マッカートニーは、イントロダクションを書き下ろしている。

 その中で彼は「50年後の今、僕たちはこのプロジェクトをとても懐かしく振り返りながら、当時4人(ジョン・レノン、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター)のメンバーと偉大なプロデューサー(ジョージ・マーティン)、そしてエンジニアたちが、これほどまでに長持ちする芸術作品をどうやって作り上げたのかと、少々驚いている。本当に凄いことだと思う」と半世紀に渡り色褪せるどころか、逆にその至高な輝きを増々強める本作について綴っている。

 ボックスセットに付属する曲解説やレアの写真や手書きの歌詞などを掲載した書籍では、リンゴ・スターが「この作品は、あの時代の雰囲気を的確に捉えていたと思う。そして、多くの人たちがアルバムに刺激を受けて本気になったんだ」と当時を振り返っている。
 
 2人のこの言葉通り、この作品は1967年に米国を中心に起こった社会現象「サマー・オブ・ラブ」の先駆けのような、当時のサイケデリックで、まだ経済的に成長できるという社会的希望に満ち溢れた空気感をそのままパッケージしたようである。

 本アルバムは「世界初のコンセプト・アルバム」といわれる。当時、ビートルズのローディ(※編注=ミュージシャンの裏方業務全般をおこなう人)であったマル・エヴァンズが飛行機の中でポールに「塩と胡椒(ソルト&ペッパー)を取ってくれ」と頼んだところを、ポールが「サージェント・ペパー」と聞き間違えたという。そこからポールは“サージェント・ペパー”なる人物を空想し、ビートルズ自体をエドワード朝時代(20世紀初頭)のミリタリーバンド“サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド”に見立て、彼らが架空のライブショーをおこなうというメタフィクションの世界観をアルバムに仕上げた。

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最終更新:5/25(木) 17:20
MusicVoice