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【ライターコラムfromG大阪】試練の負傷離脱から5カ月 呉屋大翔、巻き返しの2年目が始まる

5/25(木) 18:13配信

SOCCER KING

 今季から新たな背番号“13”を背負う呉屋大翔が、長谷川健太監督に呼ばれたのはJ1リーグ第12節・サガン鳥栖戦のアディショナルタイム。2-0とリードした状況で1枚の交代カードを残していた長谷川監督は、『3分』と表示された時間を確認して、アップをしていた呉屋に「いくぞ!」と声を掛けた。

「残り時間も少なかったし、むしろ出られないまま終わるんじゃないかと思っていました(笑)。結局ボールも触れなかったので何もしていませんが、出れてよかった。トレーナーやドクターなどいろんな方のサポートがあっての復帰で、今日もその人たちのおかげでかろうじて出れたんだと思います」

 プロ1年目の昨年末、天皇杯の戦いに向けて行われた岡山キャンプ中の12月1日に練習で右足首を痛めた。前經腓じん帯損傷、前距腓じん帯損傷、前脛骨筋筋損傷と診断され、そこから長いリハビリ生活が始まった。いや、本来はもっと早い復帰を予定していたが、アクシデントも重なって再手術となり、ピッチに戻った時には5カ月が過ぎていた。

 それでも起きた事実を自分なりに嚙み砕き、受け入れ、前向きにリハビリに取り組んできた。ゴールデンウィーク明けにようやく完全合流を果たしてからも不安がなかったわけではない。というより、サッカー人生で初めて、これだけ長い離脱になっただけに、自分の感覚がどんな風に戻っていくのか想像すらできなかったが、だからこそ、ただ真っ直ぐに自分の体と向き合った。

「もうちょっと動けないかなと思っていたんですが、5カ月もやっていなかった割には動けているし、やってみたら意外といい感触もあります。細かいミスはありますけどそれは昔からなので(笑)、気にすることはないかな、と。ただフィジカル的な部分はもう少し時間をかける必要があると思っています。なので、試合も…フル出場はさすがにフィジカル的に厳しいと思うけど、短い時間なら全然動ける気がするので、あとはチャンスがいつ来るかだけですね」

 そんなふうに話したのは5月17日のトレーニング後のこと。その後、週末の鳥栖戦へのメンバー入りを伝えられた時から「監督の気持ちを感じていた」そうだが、ここ最近は層の厚さが見られる前線の競争を踏まえても、まさかピッチに立てるとは思ってもみなかったと言う。

「おそらく監督は、無理して使ってくれたと思いますが、その気持ちを本当にありがたく感じています。このあとしばらくJリーグが中断すると考えても、今日の試合でピッチに立てたことは中断明けの試合に向けて本当に意味があることだと思う。これを今後、生かすも殺すも自分次第なので、ここから先は自分がしっかり戦うことでトレーナーやドクターなど、支えてくださった皆さんに恩返しをしたい」

 また、この鳥栖戦で、何より呉屋の胸に強く刻まれたのは、試合前のアップから聞こえてきたサポーターの「呉屋コール」や、メンバー発表で呉屋の名前が読み上げられた際に、ひときわ大きな拍手が贈られたこと。それが何よりも嬉しく、温かかった。

「サポーターの声は、アップの時から届いていたし、その声に感じるものがあった。もう少し長い時間プレーして、ボールも触って(笑)、自分なりに結果を残せたらよかったんですけど、今日はそういうたくさんの人たちの気持ちを受け取れたので良しとします。本当に嬉しかったし、有難かった」

“大学No.1フォワード”として鳴り物入りでガンバ大阪に加入して2年目。周囲のサポートを受け、ようやく『開幕』を迎えた呉屋が、逆襲の一歩を踏み出した。

文=高村美砂

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最終更新:5/25(木) 18:13
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