ここから本文です

買収防衛策を撤回する企業が増加、その背景は?

5/29(月) 8:00配信

THE PAGE

 海外ファンドからの買収を阻止する目的で、各社が導入していた買収防衛策を撤回する企業が増えています。買収防衛策は経営者の保身に悪用される可能性があり、その弊害が以前から指摘されていましたが、安倍政権が掲げるコーポレートガバナンス改革によって、廃止の動きが加速しています。

買収防衛策の弊害とは?

 パナソニックは2017年3月末で買収防衛策を廃止しました。同社は2005年に、議決権の20%以上を保有することを目的とした株式の買い付け行為に対して、防衛策を講じる方針を決定し、毎年、取締役会において、そのプランを継続することを決議してきました。

 パナソニック以外にも、買収防衛策を撤回する上場企業が増えてきています。ここにきて、各社が買収防衛策の撤回に踏み切っているのは、機関投資家などからこうした措置に対して反対する声が大きくなっているからです。

 買収防衛策は、マネーゲームを防止する策としては一見、有効に思えますが、実は大きな弊害を伴います。業績が悪いにもかかわらず、役員の椅子に固執する経営陣がこの防衛策を発動してしまうと、投資家が企業に対して影響力を行使することができなくなってしまうからです。最悪の場合には、いわゆるゾンビ企業を延命してしまうという結果をもたらします。

安倍政権はコーポレートガバナンスを重視

 このような指摘は以前から存在していましたが、防衛策が相次いで導入された2000年代前半は、海外ファンドによる日本企業の買収が相次ぎ、世間はこれに対してヒステリックに反応していました。このため買収防衛策の弊害について指摘する声はほとんど取り上げられることはなかったのです。

 こうした動きを変えるきっかけとなったのが、安倍政権が強く打ち出したコーポレートガバナンス改革です。安倍政権が相次いでガバナンス重視策を導入したことで、これまで「モノ言う」株主であることに消極的だった国内の機関投資家が、企業の経営方針に対してはっきりと意見を表明するようになりました。

 買収防衛策は基本的に株主にとってはマイナスとなりますから、企業の側も安易に導入することが難しくなってきたわけです。もっとも、こうした動きの背景には、日本経済に対する魅力が薄れ、日本企業を積極的に買収しようという海外ファンドがいなくなってしまったことも影響しているかもしれません。しかしながら、過度な買収防衛策が健全な企業活動を阻害するのは間違いありませんから、こうした流れは評価すべきことといってよいでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:6/2(金) 6:04
THE PAGE