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泣ける“現代のアン”誕生!「アンという名の少女」シーズン1評【厳選!ハマる海外ドラマ】

5/26(金) 9:00配信

シネマトゥデイ

 イマジネーション豊かで個性的な孤児のアンが、失敗を重ねながらも明るく前向きに生きる物語。カナダの作家L・M・モンゴメリーの小説「赤毛のアン」は未読でも、タイトルを聞けば、多くはそうしたイメージが頭に浮かぶはず。そんな“明るく正しい”イメージに腰が引ける人もいるだろうが、原作のダークな面に着目し、現代的な視点を加えた「アンという名の少女」(カナダのテレビ局CBCとNetflixの共同制作)は、そういう人にこそ観てほしい大人のドラマに仕上がっている。というか、めちゃくちゃ大胆な翻案がなされていて、びっくりするほど新鮮な驚き! あの「赤毛のアン」をベースに、こんなに泣けて現代性のあるドラマができるとは。

新アン・シャーリーは1,800人以上から選ばれた14歳の少女!

 原作との違いで象徴的なのが、これまでのアンの悲惨な体験がフラッシュバックするトラウマ描写。冒頭から何度も何度も描かれるのだが、その度に、もしかしたらアンはつらい現実を生き抜くすべの一つとして想像力を使っているのかも、と思えて悲しくなる。実際に、アンはただ単にユニークで風変わりな女の子ではなく、そうでなければ生きてこられなかったのではないかと思わせるシーンは少なくない。そして第2話になると、本作が今まで観たどの「赤毛のアン」よりもシリアス度が高く、野心的な作品であることは一目瞭然となる。

 矛盾するようだが、第1話から原作のイメージの再現度の高さには目を奪われる。舞台となるプリンスエドワード島でも撮影されたロケーションの美しさ、窓から差し込む光に包まれるアンの姿など、うっとりするほど詩的な映像美。第1話の監督を手掛ける『クジラの島の少女』(2002)のニキ・カーロが作り上げた映像世界が、シリーズ全体の基調となっているのだが、これだけでも観る価値があると言っておきたい。さらにアンを引き取る兄妹マシューとマリラは原作から抜け出たようだし、何より1,800人以上の中から選ばれたという14歳のカナダの新鋭エイミーベス・マクナルティのアンは、まさに原作のイメージそのもの。同時に、子供らしさの対極にあるような異質さも含めて、これまでに観たどのアンとも違うという感覚は、“「赤毛のアン」であって、そうではない”といった本シリーズ全体にも言えるかもしれない。

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最終更新:5/26(金) 9:00
シネマトゥデイ