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なぜKDDIが「離島」に注目? 昆布の島・利尻で「しまものラボ」を開く理由

5/26(金) 15:34配信

ITmedia NEWS

 KDDIは5月25日、離島の地域活性化を目指す「しまものプロジェクト」を北海道利尻町で始めると発表した。商品販売に課題を持つ離島の企業を対象に、オンライン販売のノウハウを教える「しまものラボ」を約4カ月間で5回開き、「au WALLET Market」に商品を出品。「しまものマルシェ」の商品として、個人のスマホやPCだけでなく、全国約2500店のauショップ店頭のタブレット端末からも購入できるようにする。

【画像】粘り気が出る「利尻昆布の塩アイス」

●「利尻島といえば昆布」で立ち止まらない

 利尻島から出品するのは、名物の利尻昆布を漬け込んだ梅酒、利尻昆布ラーメンなど。そこには「昆布づくし」に終わらないこだわりも秘められている。

 「ただの主婦にも、島のために新しいことができると思って」と話すのは、しまものプロジェクトに参加する北利ん道(きたりんどう)の平川さん。普段は主婦として生活している平川さんは、昆布のうまみ成分を粉末にした昆布塩を練りこんだ塩アイスを開発して出品。トッピングはなんと乾燥ウニ。「昆布やウニそのものではない、新しい利尻の名物として発信していきたい」と語る。

 地元食品を扱う小売店として参加する高橋さんは、「ネットや全国展開は未知の世界。それでもやっていかなきゃいけない時代になった。『利尻といえば昆布』だけではいけない」と話す。「人口が減れば消費も減る。商品を全国に発信することで、それ目当ての観光客も増やしたい」とした。

 「若い女性に向けて島の商品をPRしたい。島外での販売には販売者の思いを伝えるツールが必要なので、広め方などを学びたい」――地域おこし協力隊の八木橋さんはそう話す。出品に向け、女性が手に取りやすいようおしゃれなパッケージづくりにも力を入れているという。

●通信事業者が離島を支援する意味

 しまものプロジェクトは、2016年10月に鹿児島県の喜界島でスタート。利尻島は第2弾に当たる。なぜKDDIは今、離島に目を向けているのか。

 KDDI北海道総支社の岩澤正行管理部長は「14年3月に沖縄の若者を支援するプロジェクトがあり、離島地域の暮らしや課題を知るきっかけになった。島外への移動手段や産品の魅力発信といった課題を、KDDIのリソースで解決できると思った」と話す。

 利尻島の関係者とは、有人離島と企業のマッチングイベント「しまっちんぐ」で出会い「ぜひ一緒に」と声をかけられたという。利尻町の保野洋一町長は「人口減少を背景に、利尻島にはさまざまな課題がある。町としても積極的にしまものラボをサポートし、産業振興につなげていきたい」と意気込む。

 KDDIとしては、まだ一般に知られていない離島の物産をau WALLET Marketで扱うことで、商品ラインアップの拡充や魅力向上につながるメリットもある。岩澤さんは「KDDIの

CSR活動として自社のITを通じて離島を支援し、社会課題解決の一助としていきたい」と話した。

●「しまものラボ」の内容も刷新

 地元事業者にノウハウを教える「しまものラボ」の開催も、16年の喜界島に続き2回目。岩澤さんは「1回目から見えてきた課題は『食品衛生』。全国展開のためにECサイトで販売するには、さまざまな制約がある。それをクリアした商品を事業者が作れるような講義内容を取り入れた」という。

 講義は離島経済新聞社がサポート。喜界島と同じく、食のプロモーションを手掛けるオアゾの松田龍太郎プロデューサーを講師に迎えた。5月25日には初回講座として「商品の売りと課題はどこか」「商品をいかに消費者と結びつけるか」などを地元事業者にレクチャーした。

 講義後の「しまものマルシェ」での販売は、KDDIが市場調査を含めてサポートする。約1500万人が利用している有料会員サービス「auスマートパス」(利用者数は2017年3月末時点、同社調べ)内の「商品モニター」や、約7000人のKDDI本社社員による試食アンケートから、幅広く客観的な意見を集め、マーケティングに生かす予定だ。

 KDDIは今後も「通信事業者が持つノウハウや資産を活用し、離島地域の活性化を目指す」としている。

最終更新:5/26(金) 18:12
ITmedia NEWS