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ウーバー「空飛ぶタクシー」試験飛行目指す…日本で実用化する場合の問題は?

5/26(金) 9:50配信

弁護士ドットコム

配車サービスの米ウーバーテクノロジーズが4月25日、2020年までに空飛ぶタクシーの試験飛行を目指すと発表して話題になった。報道によると、ボタン一つで飛行機を呼べるようになり、渋滞の心配もなく、新たな交通システムとなりうるという。

日本では自動車業界に勤める若手有志「Cartivator(カーティベーター)」がクラウドファンディングで資金を集めて空飛ぶクルマの開発を進めてきたが、5月にトヨタ自動車が資金提供する方針を固めた。これから、世界中で開発競争が進みそうだ。

今後は、人が運転する場合だけではなく、自動運転も視野に入れた開発が進むようだが、実用化にあたっては、どのような法的論点があるのか。小林正啓弁護士に聞いた。

●現行法では、無人機なら実用化は不可能

日本の法律上は、まず、この「空飛ぶタクシー」が航空法上の「航空機」にあたるのか、「無人航空機」にあたるのかが問題になります。

航空法は、航空機を「人が乗って航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器」と定めています。「人が乗って」とあるので、空飛ぶタクシーも「航空機」に含まれるように見えます。

しかし、この条項は乗った人が操縦することを当然の前提とした規定なので、客しか乗せない「空飛ぶタクシー」は「航空機」に該当しません。もし、運転手が操縦して送迎する「空飛ぶタクシー」であれば、それはプライベートジェットやプライベートヘリと同様、有人の「航空機」に該当し、航空法の規制に服することになります。

では、運転手のいない「空飛ぶタクシー」が航空法の定める「無人航空機」に該当するかというと、航空法は無人航空機による「モノ」の輸送を前提とした規定を置いていますが、人間の輸送を想定している条項はありません。その意味では、「無人航空機」にも該当しない可能性があります。ただ、以下では空飛ぶタクシーが「無人航空機」に該当するものとして話を進めます。

日本の航空法上、無人航空機は、夜間の飛行や、目視外飛行、人口密集地や人混みの上空、空港周辺での飛行が禁止されており、これらの空域を飛ぶには事前の許可が必要になります。特に、離陸時重量が25キログラム以上となる無人航空機については、有人航空機並みの厳しいスペックが要求されています。現行法のもとでは、日本で「空飛ぶタクシー」を実用化するのは、不可能といってよいでしょう。

●エレベーター並みの安全性の確保が必要

仮に法制度が整備されて、空飛ぶタクシーが合法化されたとしても、実用化するには、安全面のハードルが高いと思われます。「人は墜落の危険を冒して飛行機に乗っているじゃないか」と言われるかもしれませんが、人がパイロットに命を預けるのは、究極的には、飛行機が墜落すればパイロットも死ぬからです。運命共同体というわけです。

しかし、墜落することをなんとも思わないコンピューターに、人は自分の命を預けるでしょうか。「空飛ぶタクシー」が社会に受け容れられるためには、エレベーター並みの安全性が確保される必要があると思われます。

【取材協力弁護士】
小林 正啓(こばやし・まさひろ)弁護士
1992年弁護士登録。ヒューマノイドロボットの安全性の問題と、ネットワークロボットや防犯カメラ・監視カメラとプライバシー権との調整問題に取り組む。
事務所名:花水木法律事務所
事務所URL:http://www.hanamizukilaw.jp/

弁護士ドットコムニュース編集部