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美術館から撤去された「朝鮮人強制連行追悼碑」 問われた「中立性」とは

5/26(金) 6:10配信

BuzzFeed Japan

2017年4月。群馬県立近代美術館の企画展に展示されるはずだった造形作品「群馬県朝鮮人強制連行追悼碑」が、開会当日の朝になって撤去された。県が係争中の案件を取り扱った作品だったため、「中立ではない」と館側が判断し、作家同意のもとで撤去されたという。【BuzzFeed Japan / 籏智広太】

いったい、どういう経緯だったのか。作品の「中立性」とは何なのか。 BuzzFeed Newsは関係者に取材をした。

実在する碑をモチーフに

まず、大枠の経緯を振り返ろう。

撤去された作品は、前橋市のアーティスト・白川昌生さん(69)のもの。群馬県立近代美術館で開かれる企画展「群馬の美術2017~地域社会における現代美術の居場所」で展示される予定だった。

そもそもこの作品は、近代美術館がある公園「群馬の森」(高崎市)の敷地内に実在する「『記憶、反省、そして友好』の追悼碑」をモチーフにしたものだ。

碑をめぐっては、その撤去を求める県と設置主体の市民団体の間で裁判が起きている。

「追悼碑」は2004年、「戦時中に群馬で強制労働に従事させられ、亡くなった朝鮮人犠牲者を追悼すること」を目的とし、市民団体によって建てられた。県議会が全会一致で請願を採択し、県が許可を出したうえでの建設だった。

しかし2012年ごろから、碑の存在に反発した保守団体が街宣活動などを開始。2014年には設置許可取り消しを求める陳情が県議会で採択され、県も設置許可の更新申請を却下。撤去の方針が決まった。

「政治的行事及び管理」を禁止した許可条件に違反している、などの理由だ。これを不服とした団体側は県を提訴。いまも裁判が続いている。

白川さんはこうした経緯を踏まえ、「公共の場における碑の役割」を提起したいとの思いを作品に込めている。同様に碑の設置に関して揉めていた「長崎原爆投下記念碑」をモチーフにした作品とともに、2015年に発表した。

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最終更新:5/26(金) 7:32
BuzzFeed Japan