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ヤマト宅配危機が追い風 セブンの“書店化”戦略

5/26(金) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

セブン-イレブン(以下セブン)の店頭には「セブン-イレブンは街の本屋さん」というポスターが貼ってある。不思議に思っている人もいるだろう。売り場に本が圧倒的に増えた気配はない。なのに同社広報によると「約100万冊を扱っています」という。

「街の本屋さん」を標榜するセブンーイレブン

タネを明かすと、セブンの書籍・DVDなどを中心とした通販サイト「セブンネットショッピング」が“書庫”がわりになっている。流通を一手に担っているのはトーハンだ。

「本サイトは注文された約8割のお客様が自宅配送ではなく、最寄りのセブン-イレブンで受け取っているという大きな特徴があります」(セブンネットショッピング・岡嶋則幸取締役)

「本の買い方を変えたい」

「街の本屋さん」という言葉は、「ネットで注文して、セブン-イレブンの店頭で受け取る」という意味なのだ。

しかし、通販で注文した商品をコンビニで受け取ることは目新しいことではない。 Amazonで商品を注文する際、ローソンやファミリーマートを受け取り場所に指定することもできる。この場合、コンビニの店頭で代金を支払う場合は、レジで300円程度の代引手数料がかかるが、同じグループ内のセブンネットショッピング(ネット)→セブン-イレブン(リアル)の流れなら0円だ。

「こうしたメリットをうまくお客様にお伝えできていなかった。本や雑誌を取り巻く環境に変化が生じている今、ネットとリアルの強みを生かして、お客様の“本の買い方”を変えていきたい」(岡嶋氏)

セブンが商機と見る「本や雑誌を取り巻く環境変化」とは、最近表面化した“宅配クライシス”が一因だ。

宅配危機で店頭受け取り増加

全国の書店は約1万3000店(2015年)。15年前に比べて約8000店舗も減少している。2000年のAmazon日本上陸が、書店崩壊の決定打となり、書籍はもはやネット通販が一般化している。

そんな中、ヤマト運輸は4月、Amazonの当日配送から撤退すると発表した。配送業界が抱える問題の深刻さがにじみ出た。このピンチが奇しくも、リアル店舗を持つセブンにとって追い風になっているのだ。

セブン-イレブンの石橋誠一郎商品本部長は「ヤマト運輸の労働環境等の問題が出た今春から、通販商品の店頭受け取りが一段と増えている」とし、「配送してもらうより、自分でセブン-イレブンに商品を取りに行った方が、少しでも社会貢献になるのではというお客様の心理の変化があるように思う」と、話す。

消費行動の変化の芽は他にも出ている。店舗内で探してみると、雑誌やムックが並ぶ売り場にタブレット端末があることに気づいた。 従業員が持ち歩いている場合もあるので、どの店でも見られるわけではないが、「COMB(コンブ・Customer Order Management Book)」と呼ばれるセブン独自の接客端末で、タッチすれば本の予約や発注ができる。2016年夏から全店導入したという。

画面を見ると、セブンネットショッピングをはじめ、グループ会社のサイトと直結。これならパソコン操作に不慣れな従業員でも、「こんな本や雑誌、どうですか?」と客に薦められるし、「新聞に出ていたこの本ある?」と、客から突然問い合わせを受けても即座に在庫確認や発注ができる。

この小さなタブレットを武器に、全国約2万店のセブンの従業員が本のセールスマンとなっているわけだ。サイトの過去注文履歴からレコメンドされるより、店員に面と向かって「この本おもしろいですよ」と直に話しかけられるほうが、サイフの紐が緩むかもしれない。さらに本好き常連客の囲い込み策も準備されている。

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