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33歳の俊英・石井裕也監督「到達点ではなく出発点」

5/26(金) 20:01配信

Lmaga.jp

「感性をフル動員しなければ太刀打ちできない」(石井裕也監督)

日常的なことばで現代人の憂鬱や希望を鮮やかに浮き彫りにし、弱冠21歳で中原中也賞(2008年)を受賞した詩人・最果タヒ(さいはて・たひ)。その彼女の第4詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』が、なんと同名映画化された。監督したのは『舟を編む』(2013年)、『ぼくたちの家族』(2014年)などの代表作を持つ、33歳の俊英・石井裕也監督。注目・期待ともに今年いちばんの映画の誕生だ。

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──原作というか、映画の出発点になっているのが、最果タヒさんの同名現代詩集です。詩集の映画化という企画は面白いと思ったのですが、監督が以前から最果さんのファンだったり、詩集の映画化を構想してたりなどあったのですか?

いや、今回の始まりはそういうことではなく、プロデューサーの孫家邦さんから最果さんのこの詩集を渡されたんです。「これを映画にしてみないか?」ということだったんですが、そこにさらに課題みたいなものを示された気がしたんです。

──プロデューサーからの挑発ですね。それはどういう課題だったんですか?

孫さんと『舟を編む』を作ったとき、「物語をもう少し引いた目で観ろ。映画全体を俯瞰しろ」みたいなことをずっと言われていたんです。それを今度は逆に、「以前のお前の感覚で撮ってみろ。感覚を取り戻せ」と言われたように思ったんです。はっきりと言われたわけではないですが、そのように感じたんです。なにしろ相手は「詩」ですから、こちらの感性をフル動員しなければ太刀打ちできないし。だから、孫さんからこの詩集を見せられたとき、今度はこうきたかっていう感じで面白いなと思いました。

──なるほど。では、実際に詩集から映画を構想するということは、いかがでしたか?

楽しかったですね(笑)。自由を感じることができました。というのも、小説とか物語原作を映画化するときは、物語の構造を映画的にどう変換するかをまず考えるわけですが、今回の「詩」には物語そのものはないので、自分が感じた気分を物語や構造に変換するわけで、その作業は非常に面白かったです。

──一読した段階で、どこまで構想が築かれました?

まず、東京を舞台にしたボーイ・ミーツ・ガールの物語であること。主人公の男女の性格もおぼろげに視えていました。さらにヒントになっていたのが、実は前に考えていた企画が流れたことで、池松(壮亮)くんのスケジュールが空いているのもわかっていたので(笑)、男の主人公は彼でいこうと。池松くん主演のラブストーリーを構想するのはそう難しいことではないですから。

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最終更新:5/26(金) 20:01
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