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Jリーガーの行動に学ぶべき、産業界の社会貢献

5/26(金) 17:39配信

日刊工業新聞電子版

自らのスタンス・姿勢、ゴールやアシストで示す

 Jリーグのプロサッカー選手約100人が、世界の子供たちに給食を届ける支援を始めた。発起人の浦和レッズの李忠成選手は、試合でゴールを決めるたび5万円を寄付し、途上国の給食の資金にしてもらう。産業界でも売り上げの一部で社会貢献活動を支援する取り組みが広がっている。

 Jリーグの選手はNPO法人「SPOON FOUNDATION」を立ち上げ、活動を始めた。選手からの寄付や、ウェブを活用したファンからの募金を、国連世界食糧計画に寄付して世界の子供たちに給食を届ける。李選手と同じ浦和レッズ所属の遠藤航選手は無失点勝利なら5万円、同じく浦和レッズの宇賀神友弥選手はゴールとアシスト1回に付き3万円を寄付する。

 李選手は英国チーム在籍時、同僚のアフリカ出身選手が母国に学校を寄付していたのを間に当たりにし、「スポーツ選手として社会に貢献したいと思うようになった」という。100人のJリーガーに賛同してもらい、その思いを実現した。

≪産業界に広がるコーズ・マーケティング≫
 売上高の一部が環境保全や社会貢献活動に寄付される商品やサービスが増えている。“コーズ・マーケティング(コーズ・リレーテッド・マーケティング)”と呼ばれる手法だ。(Causeは社会的大義)

 消費者は環境や社会のために何かしたいと思っていても、実際に行動するとなるとエネルギーが必要となる。例えば休日、森林保全活動に参加するにも、都市に住んでいると移動だけで時間がかかる。参加の回数も限られ、十分な貢献ができない。

 支払ったお金の数%が環境や社会に役立つ商品の購入であれば、消費者は労力をかけず、日常的に貢献ができる。

 全国52カ所で営業する「コンフォートホテル」は、利用者が会員になると宿泊料の0・5%をNPO法人に寄付できるプログラムを始めた。同ホテルの利用者で多いビジネスマンは、出張時の宿泊を通して社会に貢献できる。

 16年10月から17年3月の半年間で会員は10万人に到達。16年度分として集まった寄付金450万円は子供の居場所づくりやバナナ繊維で紙を作るNPO3法人に寄付した。

 大手日用品メーカーのP&Gは、海岸に漂着したプラスチックゴミを回収し、シャンプーなどの商品容器にリサイクルしている。再生材としての制約があって容器の色はグレーに限定されるが、かえってメッセージが伝わりやすく、海のゴミ問題の解決に協力したい消費者が購入しているという。1月にフランスで始めた漂着ゴミの回収は、日本を含む20カ国に広がった。

 自然保護団体に寄付をしたり、従業員が地域の里山保全活動に参加したりする企業も少なくない。どれも大切な活動だが、業績が悪化すると打ち切られることがある。また、ボランティア精神に頼った活動だと、参加は一部社員に限られ、全社的な盛り上がりに欠けてしまう。

 コーズ・マーケティングだと商品・サービスが売れるほど、貢献度も大きくなる。業績も上がり、息の長い貢献ができる。消費者も間接的に参加でき、企業ブランド向上にもつながる。お金儲けと慈善活動を結びつけることに抵抗があるかもしれないが、本業による支援なら無理がなく、効果的な社会貢献となりそうだ。