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内戦悲劇を無視しない 支援活動の早大生、体験談を著書に

5/26(金) 18:59配信

カナロコ by 神奈川新聞

 海外で子どもたちらの支援活動に取り組む早稲田大学4年の原貫太さん(23)=平塚市出身、同在住=が、アフリカのウガンダで出会った元子ども兵の女性の体験談などを著書「世界を無視しない大人になるために」にまとめ、自費出版した。既に500部が完売し、400部を重版するなど反響は大きい。今後は、陸上自衛隊が25日に国連平和維持活動(PKO)への参加を終えた南スーダンからの難民支援などに力を尽くしていく。

 東アフリカに位置する内陸国ウガンダ。1980年代に始まった政府軍と反政府勢力「神の抵抗軍」(LRA)との内戦は20年ほどで沈静化したが、LRAに徴用された子ども兵は3万人以上とされている。

 原さんは大学3年の2016年1月、実情を知ろうとウガンダ入り。バングラデシュで貧困にあえぐ子どもらをサポートした経験を通じて、現地で元子ども兵の社会復帰を支えている京都市のNPO法人の協力を仰ぎ、12歳でLRAに誘拐された元子ども兵の女性(26)に話を聴いた。

 女性は政府軍に救出されるまでの14年間、兵士として従事した。男性兵士との結婚を強要され、村を襲い、戦場に立ち、3人の子どもを育てた。

 「政府軍の掃討から逃げるために子どもを抱きながら逃げ回った」。壮絶な体験に耳を傾けながら、原さんは「想像、共感することが難しく、掛ける言葉が見つからなかった」と言う。

 いったん帰国したが、現地で世話になったNPO法人のインターンとして再びウガンダへ。支援の場に身を置きながら、子ども兵の苦しさ、生み出される国際的な背景、内戦が続いている隣国の南スーダンから流入する難民の現状などを自著に記した。
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 海の向こうへ目を向けるようになったのは、大学1年の春休み。日本のNGOが企画したフィリピンのスラム街の現状などを知るスタディーツアーに参加した。いずれ訪れる就職活動への話題づくりと、得意な英会話を生かすための軽い動機だったが、一人の少女にほおを張られたような気持ちになった。

 ボロボロのワンピースを着た7歳ぐらいの女の子が裸の赤ん坊を抱え、往来の激しい3車線を行き交って物乞いをしていた。「下校途中にコンビニで自由に買い物ができる国がある一方で、なんて世界は不条理なんだと強く思った」

 帰路に就くバスの車中で見かけた少女の姿が、帰国後も忘れられなかった。そこで、出身の逗子開成高校(逗子市)の仲間らと、アジア最貧国と言われるバングラデシュでストリートチルドレンをサポートする団体を立ち上げた。

 現地に赴き、駅などで生活せざるを得ない子どもたちと、取り締まる側の警察とをつなぐ会合を開催。相互理解を深める手助けをしてきたという。

 ただ、「紛争下の子どもという存在に問題意識を持っていた。遠くの世界の出来事で終わらせたくなかった」という原さん。大学3年秋には交換留学生として国際関係論を学ぶために渡米し、今回のウガンダでの活動に結ばせた。
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 これまでに訪れた国は5カ国。自著のタイトル「世界を無視しない大人になるために」は、そこで出会った人々への思いや、抱いた「世界を良くしたい」という志を忘れないために付けたという。

 「スマートフォン一つで、世界の裏側につながる時代。遠い世界の話かもしれないが『伝える』ことでつなぐことができる」。この春から休学していた早大に復学した。卒業後は南スーダンの難民の自立支援や国際協力への人材育成に努めようと考えている。

 本の問い合わせは、原さん電話080(9348)4592。