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女性塩作り職人引退へ 珠洲、流下式製塩で18年

5/26(金) 2:14配信

北國新聞社

 製塩の「新海塩産業」(珠洲市長橋町)に勤務する塩作り職人常俊(つねとし)順子さん(69)=同市馬緤(まつなぎ)町=が、来年3月末で引退することを決めた。珠洲で珍しい女性職人として「流下式(りゅうかしき)製塩」と呼ばれる塩作りを18年間続け、珠洲特産の天然塩の発展を支えてきた常俊さんは「子どもが育っていくようで、やりがいがあった」と職人生活を振り返り、新人3人に経験や技術を伝えている。

 常俊さんは1999年、中学校時代の同級生だった新海塩産業の創業者で前社長の小谷内祥治さんに誘われ、塩作りに携わった。当時は珠洲特産の天然塩の生産量が不足しており、伝統の揚浜(あげはま)式製塩よりも年間の生産量を多く確保できる流下式製塩を選んだ。それまで土建や縫製などの業務に就いていた常俊さんにとって、未経験の仕事だった。

 常俊さんは小谷内さんから、工場内の大釜で海水を煮詰める作業など製塩のノウハウを教わり、「塩分濃度の度合いが違う」などと何度も叱られながら技術を体得したという。2人は珠洲の流下式製塩を広めるため、全国を回って宣伝にも取り組んだ。

 小谷内さんは昨年12月、肺がんのため亡くなった。常俊さんは「社長が亡くなって辞めようかと思ったけど、70歳になるまではやる」と心に決めた。

 同社には昨年秋から今年春にかけて、20~50代の3人の新人が入社した。常俊さんは塩の濃度管理や、釜を熱する薪(たきぎ)を投入するタイミングなどを手ほどきしている。

 引退まで残り1年足らずとなり、指導に力を入れている常俊さんは「若い人と働ける今が一番幸せや。先代社長のためにも最後まで仕事をやり通したい」と話している。

北國新聞社

最終更新:5/26(金) 2:14
北國新聞社