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【ライターコラムfrom福岡】眠れる獅子。福岡の“キング”城後寿が目覚めるとき

5/26(金) 13:38配信

SOCCER KING

 J2リーグ第14節、当時首位を走っていた湘南ベルマーレとの大一番だった。主導権は湘南に握られながらも、アビスパ福岡が2点をリード。75分に、シャドーの位置に入っていたジウシーニョと交代して、城後寿がピッチに入った。今シーズンはボランチで出場することも多かった城後だが、「久しぶりに前(のポジション)で出るからには、ゴールを取ってやろう」と、ピッチに飛び出した。

【動画】城後が湘南戦で今シーズン初ゴール!

 城後は福岡一筋、在籍13年目。GK神山竜一に次いで、2番目に長く在籍している福岡の“キング”だ。08年からは背番号“10”を担い、リーグ戦通算357試合に出場する大黒柱。15、16年はキャプテンも務めた。

 その城後が、今シーズンは出場機会に恵まれていない。ここまで、先発出場はわずか1試合のみ。開幕スタメンも逃した。開幕戦で先発できなかったのは、左膝前十字靭帯を負傷してリハビリ中だった10年以来のこと。臀部周辺に痛みを抱えていることも一因ではあると思うが、今シーズンの福岡は下部組織からの昇格を含め攻撃的な選手を6人も補強し、チーム内競争が激しいことも事実。城後はベンチから戦況を見つめながら、闘争心を沸々とさせる日々が続いた。

 湘南戦のピッチに飛び出した城後に、チャンスが巡ってきたのは87分。右サイドの駒野友一から上がったクロスに合わせ、相手DF裏の死角に潜んだ城後が、ヘディングでゴールを流し込んだ。今シーズン自身初ゴール。そして、すぐさまサポーターが待つスタンドへ駆け寄った。「待ってるよ、とたくさんの人に声をかけてもらったんで。ひとつになって喜びたかったというのもありますし、でもまぁ、気づいたら走っていたんですけど(笑)」。照れくさそうに、そう振り返った。

 福岡は続く第15節のツエーゲン金沢戦も5-0で勝利し、ついに首位に立った。しかしこの試合では、城後に出番はなかった。「出場機会が巡って来ないからと言って『これくらいでいいだろう』と思うんだったら、プロなんてやめた方がいい」と、真っすぐに城後は言う。そして、「自分の力が必要になるときが必ず来ると信じていますし、そのとき結果を出して、自分でスタメンを掴み取りたいと思ってやっていますよ」と続けた。彼の力が必要になると信じているのは、城後本人だけでなく、ファンやサポーターも同じだ。

「昔からいる選手が活躍すればチームももっと盛り上がると思うし、昔からのファンも盛り上がってくれるはず。チャンスをモノにするために、いい準備をするだけです」。眠れる獅子“キング”城後が再び立ち上がったとき、福岡はJ1昇格という切符を手にするだろう。

文=新甫條利子

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最終更新:5/26(金) 13:38
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