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【特集】築88年“モダニズム住宅” 売却の理由とは?

5/26(金) 14:53配信

毎日放送

京都市山科区に建つある住宅。住宅といっても普通の家ではありません。なんと築88年、昭和初期に建てられたもので国の登録有形文化財にもなっているものです。その家がいま売りに出されています。どうして、それほどまでの家が売却されようとしているのか?それには深い理由がありました。

築88年の「栗原邸」

京都市山科区の疎水のほとり、閑静な住宅街の一角にその家はありました。1929年に建てられた「栗原邸」。庭木が生い茂る約300坪の敷地に建つ頑丈なコンクリートの建物。玄関は半円状の特徴的な形をしています。

建物の中はどうなっているのか。中に入ると外観のイメージとは打って変って、木のぬくもりが感じられる広いホールが現れます。スズランの形をした可愛らしいランプが出迎えてくれました。3階建てで、延べ床面積は約400平方メートル。部屋数は11。1階の広い客間やダイニングには建築当時の家具がそのまま残されています。

2階へ上がると…なんとも心地よさそうな部屋が。玄関ポーチのちょうど真上にあたり、大きな窓から心地よい風と明るい日差しが入ります。屋上に上がると…町並みが一望できます。

土地と建物を合わせて価格は2億円。この建物の価値について専門家に聞いてみました。

「1920年代に新しくモダニズムという建築が出てきたが、そういうものを象徴する建物になっています。非常に珍しい」(京都工芸繊維大学近代建築史 笠原一人助教)

所有者にのしかかる負担

1920年代から30年代にかけて広がった「モダニズム建築」。コンクリートの打ちっ放しなど装飾を排除し、機能性と合理性を追及したのが特徴です。「栗原邸」はモダニズム建築の先駆けになった京都の建築家・本野精吾が設計しました。

「夏も暑くないし冬もそんなに寒くない。私たちは快適だったですよ」(栗原眞純さん)

栗原邸の所有者・栗原眞純さん(80)。ここで生まれ育ちました。昭和4年に建てられた邸宅。その12年後に実業家だった栗原さんの父親が買い取り、一家で住むようになりました。戦後、7年近くGHQに接収された時を経て再び栗原家のもとに戻ってきました。

この家に住んでいた栗原さんの兄が2009年に亡くなって以降、栗原さんが相続しましたが、誰も住んでいない状態が続いています。生まれ育った家に愛着はありますが、栗原さんは80歳という自分の年齢を考え、手放す決意をしました。

「家内が死ぬまでに何とかしてや、と言うんですよね」(栗原眞純さん)

「栗原邸」は国の登録有形文化財で価値ある建物ですが、この制度には修理工事や維持費に対する補助はありません。栗原さんは傷んだ部屋の修繕費や掃除代、固定資産税などで年間約200万円の維持費を負担しています。その上、相続税も重くのしかかってくるのです。

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最終更新:6/23(金) 20:32
毎日放送