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【コラム】安倍首相のカジノ計画、長期的に賭け金損失も

5/25(木) 10:29配信

Bloomberg

安倍晋三首相が主導する日本へのカジノ導入計画は、統合型リゾート建設で短期的な経済押し上げに寄与するが、長期的にはリスクの高い賭けかもしれない。新たなギャンブル・遊戯施設等からの収入は、最大で日本の国内総生産(GDP)の0.6%に及ぶとの皮算用も可能だ。しかし、大都市偏重は、長期的な観光の成長戦略としては失敗するかもしれない。ハイペースの供給で競争が激しくなるカジノ産業で、マカオやシンガポールとアジアの観光客争奪で真っ向勝負にさらされることになるからだ。

最近の統合型リゾート建設に関しての政府案では、横浜や大阪、そして(現在は名乗りを上げていないが)東京といった大都市に有利な要件が課せられ、「地方創生」の観点を欠いている。しかし、外国人観光客のリピーターはむしろ、地方志向だ。地方を巻き込み、アジアの競争相手との差別化を図らなければ、大規模なインフラ施設建設はむしろ長期的に経済成長の重しになりうる。

・統合型リゾート-国際会議場・展示施設、ホテル、ショッピングモール、アミューズメントパークなど、カジノと一体になった複合観光集客施設-は建設需要や開設後のカジノや関連施設の収入による経済の押し上げ効果が望める。

・カジノや統合型リゾートの成功例であるマカオやシンガポールでは、カジノ関連での2016年での収入が日本のGDP対比でそれぞれ0.6%と0.1%に上り、成功すれば同程度の経済効果が期待される。

・ただし、こうした大規模施設の建設ラッシュも進み、14年以降の成長に陰りもみられる。中国人観光客の減少も下押し要因となっている。一方、相対的に小規模な韓国やフィリピンでの売り上げは継続的に拡大している。

・日本の生産年齢人口が急速に減少する中、大規模施設の新規建設は建設労働者の不足に直面し、建設コストの上昇もしくは開業の後ずれの可能性も否めない。日銀の15年のペーパーによると、東京オリンピック関連の整備やカジノ建設により、18年のピーク時には73万人の労働者不足に陥ると試算している。ブルームバーグ・インテリジェンスではカジノ開業が24年と数年遅れる可能性を指摘している。

・今年の12月までに策定されるカジノに関する規制や特区の選定など実施のための法案を見据え、政府は事前の事業者の認定や国際会議場、劇場・博物館など4機能の完備を地方公共団体の認定要件としたため、地方の小都市が選定されるのは困難となりつつある。

・しかし、観光庁による17年1-3月の調査では、「自然体験ツアー・農漁村体験」、「四季の体感」などを、「次回したいこと」として挙げる訪日外国人の割合が「今回したこと」との割合に比べ大きく高まっており、地方でのコト消費がリピーター獲得に重要なことがうかがえる。

・大都市偏重だけではなく、地方都市をどう巻き込むかといった観点が、長期的な成長戦略として必要だろう。

Yuki Masujima

最終更新:5/25(木) 10:29
Bloomberg