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イスラム教徒になった日本人「残業なんてしなくていい」その心は? 「人間関係を離れ、個として対峙」

5/29(月) 7:00配信

withnews

 イスラム教シーア派に改宗した20代の日本人男性、吉田隆さん(仮名)。仏教や神道と違って、ただ一つの神(アッラー)の存在を信じるイスラム教は、吉田さんの生活にどんな影響を与えたのでしょう。仕事との関係、世俗主義についての考え…。ざっくばらんに聞いてみました。(朝日新聞国際報道部記者・神田大介)

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神とは「××でないもの」

神田(聞き手)「さて、ズバリお聞きしますが、吉田さんにとって神とはどんな存在ですか?」

吉田隆さん(仮名)「『××でないもの』と考えると理解しやすいように思います。否定的な意味ではありませんよ」

吉田さん「たとえば、神とは『人間関係でないもの』。人間って、他の人間との関係の中に埋め込まれて生きていますよね。神の存在を意識することで、そこから距離を取り、俯瞰でものを見ることができます」


神田「そう考えることで、見えてきたことはありますか?」

吉田さん「たとえば、日本では多すぎる残業がずっと問題ですよね。法律や規則で決まっているわけでもないのに、『仕事』なるものにとらわれている」

吉田さん「これを生んでいるのは、組織や社会の中にある同調圧力だったり、直属の上司や先輩社員との関係だったりします」

吉田さん「神の存在によって、そうした関係性を離れ、個として対峙できるようになると思います。不要な残業なんて、やらなくてもいいんです。神の命令でもあるまいし」

神とは「予見できない」

神田「吉田さんは、どんな時に神の存在を身近に感じますか?」

吉田さん「イランを旅行していたとき、長距離バスに乗り遅れてしまったんです。そうしたら、困った僕を見たイラン人があちこちに電話をかけてくれて、なんと乗る予定だったバスの運転手につながって、そのバスは発車せずに僕を待ってくれていた、ということがありました」

吉田さん「日本ではあり得ないですよね、定時になったら発車する。すごく感動したんですよ。世の中には自分の力を超えたところで動くことというのが確かにある。そういう時に神の存在を感じます」

吉田さん「日本社会って、極端に『予見可能性』が上がっていますよね。電車がちょっと遅れたり、ネット通販が予定の配達日に届かなかったりしただけで大騒ぎします。でも、自分で何でもコントロールできると考えるのは、ちょっと違うんじゃないでしょうか。

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最終更新:5/29(月) 7:00
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